月刊コラム page 23.
 町制1周年! 100円バスが走る川里町と地方自治
(その2)

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  【市町村の協力組織“事務組合”】

 人口がウン十万人もいるような大都市や、地元の大企業からの法人税収入に恵まれている町などはともかく、財政的にも人材的にも小規模な市町村は、市町村としてこなすべき仕事をこなしきれない場合が少なくありません。群馬県川場村が、150km離れた東京都世田谷区と合併したい、と言い出すのも無理はないのでして。そこで、市町村合併とは言わないまでも、市町村の事務の一部を近隣自治体と合同でやろうというのが“事務組合”です。

 川里町は、鴻巣市・桶川市・北本市・吹上町と3市2町で“埼玉県央広域事務組合”を形成しており、「消防」「救急」「火薬類取締り」「火葬場・葬祭場」の各事務項目を共同処理しています。このうち「葬祭場」については、後で触れますが「県央みずほ斎場」を川里町内に設けました。
 所定の事務処理のほかにも、3市2町では公民館や図書館・福祉施設の利用範囲を拡大しているので、たとえば川里の人が鴻巣市立図書館で本を借りることもできるのです。……こういう市民サービスの広域化は、財政規模が大きくない市町村どうしが相互補完することで、市町村にとってはハコモノ投資を“節約”できますし、市民にとっても選択の幅が広がります。強いてデメリットを挙げるとすれば、たくさんある選択肢の中から利用したい施設があっても、“遠い”ということでしょうかね。


フラワー号

  【100円循環バス『フラワー号』】

 昨年の秋くらいでしたかねぇ、新聞の地域面や市の広報に「鴻巣市・川里町広域循環バス 1月から運行開始」と載りました。愛称は一般公募の中から、川里・鴻巣がともに花の栽培が盛んなので『フラワー号』と名付けられました。地元中学校へ依頼してバス車体のデザインを募集し、黄色やオレンジ色の花と虹をあしらったミニバスが走り始めました(写真右→)。車体そのものは、いわゆるマイクロバスのサイズで37人乗り、バリアフリー対応で床が低いノンステップタイプ、座席は左右1列ずつで狭いながらもつり革がついています。乗降方式はこの地域の路線バスに合わせて「後ろ乗り前降り・運賃後払い」ですが、全線均一運賃なので後扉に整理券発行機はなし。首都圏のバス共通カードも使えます。

 市町村単位で、役場や福祉施設を起点にして市内を循環運行する“コミュニティバス”は、埼玉県だけでなく全国各地に広がっています。なかでも特に埼玉県は、県南はあまり道が広くない住宅密集地で大型路線バスが走りづらい。そこからちょっと外れると自動車保有率が高くなって、路線バスは軒並み減便または廃止。とまぁ、何とも微妙に民営路線バスが営業しづらいという土地柄でして、市町村が自主運行あるいは路線バス事業者に委託して小型バスを走らせるというのが、結構多いのです。どれくらい多いかというと、個人のホームページで「さいたま市町村(循環)バス」があるくらい(「埼玉交通&自然情報」内)。

 話を川里に戻しますと、川里町はもともと「ひまわり号」という、福祉施設への送迎という性格が濃い町内循環バスを走らせていましたが、フラワー号運行開始よりも早く2001年4月1日に運行形態を変更、ワゴン車を用いた予約制の「公共施設等無料巡回車」になりました。さらに、町北部の赤城台地区に誘致した“川里工業団地”と、JR高崎線・北鴻巣駅を結ぶシャトルバスも出していましたが、こちらはちょうど『フラワー号』の路線の一部に含まれるので、『フラワー号』登場と入れ替わりにシャトルバスを廃止。“川里工業団地連合会”がフラワー号の運営に大規模な資金協力を行ったこともあって、1乗車100円均一という「ワンコインバス」が実現しました。

川里役場前のバスポール  鴻巣市と川里町が、地元で路線バスを運行している朝日自動車に運行委託しており、旅客案内上は「朝日バス」となっています。川里町の花:ひまわりと、鴻巣市の花:パンジー黄色に塗られた『フラワー号』用のバス停ポールは、片面に時刻表・もう片面に路線図を貼ってありますが、従来のバス路線と『フラワー号』が重なるところでは、バス停ポール1基で表裏を両面使い分けているところがあり、せっかくの路線図の上に無造作に路線バス時刻表を重ねて貼ってあるところも(←写真左)

 環状路線から少し内側に入った、循環バスの起点となる川里町ふるさと館は、福祉センター・コミュニティセンター・郷土資料館・図書館・保健センターの各施設が1ヶ所にまとまったところ。ふるさと館に隣接して教育委員会、水道局、そして町内唯一の中学である川里中学校が建っています。先に述べた旧3村である、共和・屈巣・広田の3地区のちょうど真ん中にあたり、地区間のかたよりがないという点では公平ですが、もともと集落がない所なので、「ひまわり号」以外に交通の便がないという立地でした。中学校も、古くは3つの村ごとにあったのを町の真ん中に統合したと思われます。
バス側面の経由地表示
 循環バスの路線は、写真右の“左回り”で言うと、ふるさと館から川里工業団地・川里町役場(7:30〜9:30は経由せず)、国道17号沿いの長崎屋前から赤見台団地を縦断して北鴻巣駅。かつて鴻巣〜熊谷を結ぶ東武バスが走っていた旧中山道に合流して箕田小学校前・ふれあいセンター入口、そして鴻巣市街に入って鴻巣駅前。女子高〜保健所前〜市役所第二庁舎入口と公的機関が集中する地区から、ひばり野ニュータウンを抜けると人家が途切れ、再び川里町に入ったところが県央みずほ斎場。そして共和地区を貫きながら上会下(かみえげ)新田にも寄り道して、ふるさと館に戻ってくる、というのが一般的なルート。逆回りだけでなく、ふるさと館に戻らない環状運転に途中折り返し、そして別の集落への寄り道などなど、かなり細かい芸も見せてくれるので、『フラワー号』時刻表は意外と複雑になっています。路線図・時刻表などのパンフレッ類は、川里町・鴻巣市の役場や公的施設に置いてあるようです。

 なお、いつも作っているはずの町の略図・『フラワー号』の路線図は、今回は横着して作っておりません。詳しくは、以下のページをご参照下さい。
  • 川里町のページ
  • 鴻巣市の「フラワー号」ページ
  • さいたま市町村(循環)バス


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