第1回 リアル桃鉄(東雲杯)
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第1回 リアル桃鉄(東雲杯)レポート ≪前編≫
【11/8(日)】
以前より参加を打診していたどろっぷ氏と、秋葉原で14時に待ち合わせ。当方が自宅を出る前から「なう秋葉原」と題されたメールをよこし、いろんなお店を転々としながら私の到着を待っているらしい。
どろっぷ氏は、私の数少ない知人の中でも比較的鉄分が高く、また「水曜どうでしょう」愛好家でもあり「サイコロの旅」的なノリを心得ている、などの下地があるので、プレイヤーでもゲームマスター(GM)でもご参加いただければ……とお誘いしていたら、「年末に向けての執筆活動をしたいので、自宅のPCの前にずっと居られるGMなら引き受けてもよい」とありがたいお返事をいただいた。
web上に記載したルールやカードリスト、先週日曜の“パイロット版”の報告にあらかじめ目を通していただき、ルールの細かい運用を確認し、詰めていく。メールとメーリングリスト(ML)の使い分け、特急乗車可、手持ちの急行系カード、参加者の目印と“貧乏神”、運転見合わせ時の扱い、……などなど。出来るだけシンプルなルールにしたいのだが、それでも色々な要素が絡み合うゲームなので、ルールを練り上げるのも結構大変である。
行き先リストの52駅のうち、列車本数が特に少ない成田空港と浜川崎は、それぞれ酒々井と尻手に変更することにしたが、御嶽と成東はこわいもの見たさで残すことにした。東西の正横綱である。ならば相武台下と木下を張出横綱とし、おおむね東京から40km以上離れた駅を“三役”と称して、トランプの絵札に割り当てる。「サイコロの旅」でいう六枠、夜行バスの位置である。
桃鉄でいう「ぱろぷんてカード」のような、引き当てるまで内容が明かされないお楽しみカードを作りたい、とGMどろっぷ氏からご提案をいただいたので、ありがたく乗っかることにする。「GMカード」のイベントは6種類用意され、GMがサイコロをふって決めるという。私もプレイヤーなので、カード内容は当日のお楽しみとし、企画者の私も聞かないでおく。
【11/13(金)】
秋葉原のパセラで“前夜祭”と称した顔合わせ。当日の参加者の顔を覚えて……覚えきれなくても、ざっとながめてもらって気分を高めていただければと思ったのだが、エントリー10名のうち2名が参加とりやめ、3名は前夜祭欠席で当日ぶっつけ参戦となり、前夜祭出席者はGMどろっぷ氏を含めて6名。料理8品に2時間飲み放題+カラオケつきのコースだったが、静かに資料を読んでいただく空間がほしかったからカラオケルームにしたまでのこと。誰も何も歌わないのは想定内である。
チーム名をつける。メールの件名に記して一目でわかるよう漢字1文字が望ましい、とGMからのご注文。うちの夫婦チームは「チーム藤」とする。苗字に由来し、かみさんの実家の家紋でもある。私の会社の旅仲間であるKさんとY君のコンビは、苗字に「川」「滝」が入っているので「チーム水」。かみさんのかつての同僚だったTさん(前夜祭欠席)とMさんは、Tさんの名前から「チームみどり」にしようかな、とMさん。土曜日に電話したらTさんが大いに反発したらしいが、「チーム緑」で当日を迎えた。会社の後輩である石川君は、地元の友達・根岸君と参戦するらしいが、2人とも前夜祭は欠席。石川君が熊谷の方から来てるので「チーム熊(仮称)」にしたら、考えるのが面倒くさいとそのまま「熊」になった。正しくは行田市らしいのだが。
11/15(日)【第1ピリオド】
暖かいけれどぐずつきがちだった金曜・土曜とは打って変わって、当日の日曜はきれいに晴れ上がった。絶好のリアル桃鉄日和である。電車に乗ってるだけでも、車窓が明るいか薄暗いかで気分は変わるし、カードによっては駅の外を歩き回らなければならないので、好天にこしたことはない。
8:30 JR秋葉原駅中央口に集合。チーム熊の石川君と合流。石川君が声をかけた地元の友達・根岸君とは、まるっきりの初対面である。I君は今日の面々をどう説明してくれているのだろうか。
旅仲間の飯嶋氏がなぜかここにいる。日曜だというのに今日は仕事で、リアル桃鉄には参加できないので、せめて見送りを、と柿ピーを人数分持たせてくれた。チーム水は秋葉原集合で、プレイヤーの目印であるえんじ色の野球帽と、貧乏神の桃色のハチマキと柿ピーを持って、彼らがスタート地点に選んだ東京駅へ向かった。残念ながらチーム緑は新宿駅スタートなので、お渡しできなかった。
8:55 GMからML配信。第1ピリオドの目的地は、根岸線の根岸。近すぎず遠すぎず、絶妙の距離感ではないか。ここを引き当てたGM氏、本当は東鷲宮を引きたかったらしいのだが。そういえばチーム水は東京駅スタートで、2駅のアドバンテージがある。
9:00 まるっきりの初対面で、リアル桃鉄についても状況をよく把握しておらず不安そうな根岸君に「同名の駅があると知ったら、行かずにはいられないのが人情ってもんでしょ」と無理やりあおりながら、秋葉原から南を目指すわれわれチーム藤とチーム熊は3・4番ホームに上がって、ゲーム開始。さっそく手持ちの「急行カード」を行使、先行逃げ切りを狙ってサイコロを2つ振る。
片方が「1」というのが気に食わないが、サイコロ2つの出目としては期待値であり、まずまずの滑り出し。山手線で2駅、東京で9:15発の東海道線快速アクティーに乗り換えれば横浜まで4駅。……快速と言っても、藤沢まで停車駅は普通と変わらないのだが、まぁとにかく東京〜大船間は駅数が最も少ない東海道線に乗るのがリアル桃鉄の定石である。
同様に急行カードを行使して「1+4=5」を出したチーム熊は、なぜか東京駅で山手線から降りてこなかったが、どういうわけか品川駅でわれわれと同じ列車から下車していった。新橋で山手線から乗り換えたらしいのだが……。
9:41 横浜で下車。根岸線に乗ろうとしたら、根岸線のりばにチーム水がいた。4を出して到達した横浜で作文カードを引いちゃったそうで、Y川君が携帯電話で200字以上入力するという荒行に苦戦中。そんな彼らを横目に、まだ1駅残っているわれわれは、横浜線から来た8両の大船行に乗り込む。
9:44 桜木町で下車(あと4駅)。ホーム上の待合室に入ってカードを引けば「テレホンカード」。直前に参加辞退されたカワバタさん(=かみさんとは大学時代からの長いつきあい)に電話するのかと思いきや、実家のお母さんに電話。これこれこういうゲームに参加してるのよ、と話したら「なにやってんの」と呆れられたらしい。至極当然なリアクション。駅の構内放送で、下り列車接近のアナウンスが流れると、まだまだ話が終わっていなさそうなのに「次の電車きたから切る。また電話するね〜」と一方的に通話終了。後で訊けば、気軽に電話できてかつこちら側の都合でいつでも電話を切れる相手として、母親を選んだらしい。そんな深謀遠慮の結果が、実家へいつ顔を出すかの返答先送りであった。
9:48 10両の磯子行が入ってくるのを待合室のガラス越しに見ながら、あわててサイコロをふる。
なんと、4駅先の根岸へ! 序盤からこんなに飛ばしていいんだろうか。
……石川町を過ぎると、根岸線は山間を縫うように走る。トンネルを抜けて山手に着く直前、MLが配信されてきた。
今、自分こと山川和樹は横浜駅にいる。今日は昨日とはうってかわってとてもいい天気で、絶好の桃鉄日和りである。しょっぱなから少し面倒なカードを引いてしまったが、これからはカード運が上がることをせつに願う
横浜駅に降り立つのははおよそ10年ぶりぐらいある。それくらい久しぶりである。昔どうよう今も人がたくさんいる。前、降りた時は観光をした。赤煉瓦倉庫、ランドマークタワーにものぼったが、今は200字の作文に頭を悩ませている。ホントに出たしから少ししんどい
さっき横浜駅で悪戦苦闘していたY川君の作文である(原文ママ)。文面に困惑ぶりがにじみ出ている。かみさんはこれを読んで、自分も作文カードを引いた時のためにと下書きを始めた。どこで作文カードを引くか分からないので、引いた場所の情景も書き足さなければならないのだが、準備がよいのは結構なことである。
9:57 根岸に到着。まっすぐで見通しのきく島式ホームに他のチームの姿はなく、MLからのメールもなし、どうやら一番乗りである。急いで駅名標を撮影し、MLに流す。
10:02 自分で出したMLへのメールが自分にも配信された頃に、携帯の画面を恨めしそうに見つめながらチーム水が降りてきた。一つ手前の山手駅を出たところでメールが来たので、同時ゴールではないが現在地は根岸ということになり、減点は0。GMがまとめた他チームの現在地は、チーム熊が品川で引いたKrispyKremeカードの扱いを誤って(品川にクリスピークリームドーナツがないから実行不能、と判断しちゃった)、行きつ戻りつしたため川崎。新宿から湘南新宿ラインで動き始めたチーム緑は、新川崎で誤って上り列車に乗ってしまい、唯一都内の西大井。
第1ピリオド(根岸)結果
チーム藤 | 秋葉原→根岸 | +620pt |
チーム水 | 根岸 | −0pt |
チーム緑 | 西大井→根岸 | −450pt |
チーム熊 | 川崎→根岸 | −290pt |
【第2ピリオド】
各チームの現在地と得点が出そろったところで、チーム水立会いのもと、わがチーム藤が第2ピリオドの目的地を抽選する。トランプを1枚引く。
かみさんはその場にしゃがみ込んで、「ぇええ〜〜〜」とうめきながら頭を抱えた。
かみさんは木下の正しい読み方も場所も知らないが、「K」という絵札が“横綱”を意味することは知っていた。旦那である私が、パイロット版の御嶽に続き、またもや横綱を引き当ててしまった。しかも、東京からではなく横浜の根岸からのスタート。……しかしこれをものにすれば、1000ptは下らないビッグチャンスである。手持ちの特急カードで高飛びを狙うが……
3つ振って「8」とはさえない出目である。根岸線で横浜へ5駅、そこから東海道線で3駅の新橋に向かおう。チーム水は「10」を出したようで、秋葉原まで行けることに。
10:23 駅の構内放送。根岸線の上り電車が、本郷台あたりでガラス破損のため港南台で乗客を降ろして回送扱いに。横浜・東京方面はその後に来るという。どこの窓が割れたんだかわからない回送電車が定刻より10分遅れて通過していった。結局、磯子始発の定刻10:33発南浦和行が先に来ることになったが、目的地が決まってから約20分の足止めは痛い。チーム水も道連れなのはまだ救いだが、川崎と西大井にいる2チームはどれだけ進んだのだろうか。
10:45 どうやらチーム熊が「宴カード」を引いたらしいので、みなさん飲みましょう、とML配信。横浜で乗り換えの時に缶ビールでも買おうか。この電車が根岸線上りの復旧1本目なので、石川町・関内と停まるにつれて混んできた。
10:50 桜木町を過ぎたところでメール着信。貧乏神をしょっているチーム緑が「ぶっとばしカード」を引いたので、わがチーム藤への攻撃に使うという。添付画像はAのカードで、行き先リストには「八王子みなみ野」とある。みんな千葉へ向かうのに、われわれだけ正反対の八王子か……。ならば横浜線に乗り換えなければならないので、京浜東北線を横浜で降りずに、次の東神奈川まで進む。
10:55 東神奈川で下車。ホームの売店で缶ビールと缶チューハイと時刻表を購入。E電(←死語)区間なら時刻表なしでもなんとかなるが、成田線が出ちゃったので、本腰を入れてルートを考えることにする。
……と、GMからML配信。
GMです。
ぶっとばす先はカードを引いたチームが抽選で決定してください。
あー、さっきのAのカードは、「行き先リストの八王子みなみ野」ではなく、「貧乏神カードリストのぶっとばしカード」の意味だったのか。ならば東神奈川じゃなく横浜で待っていればよかった。
間もなく、チーム緑から「二俣新町へ」というメールが届いた。横浜からみれば、一応木下の方向であり、一安心。しかし、横浜駅にいれば東海道線で東京へ行けたはずで、残念。再び京浜東北線の北行電車に乗り込む。大井町でりんかい線に乗り換えて新木場へ出るか、川崎から東京まで東海道線に乗って京葉線へ乗り継ぐか。所要時間に差はなさそうだが、かみさんは東京駅の京葉線の乗り換えがいやだというので、大井町乗り換えとする。
鶴見あたりでML着信、英語禁止発動。しかし二人とも、10分もたなかった。どこで正座しようか。
11:20 大井町で下車。改札を出た正面にVie de Franceがあるので、かみさんがメロンパンを買いに行った。……一度禁を破ったら、英語だろうがフランス語だろうがお構いなしである。
実はりんかい線の大井町駅もかなり深い駅で、京葉線東京駅のような水平移動は少ないが、下りエスカレータに延々乗らされる。地下5階の新木場行ホームにたどり着いたところで、またML着信。
チーム熊が目的地サミットカードを引きました!
皆さん(宴を除く)現在の行動を中止して、大至急木下駅を目指してください!
これ、同着多数になったらどうすんだ……
なんですってーーー!!??? さぁ、どうやって木下を目指せばよいのか。地上にいれば、迷わず京浜東北線で上野を目指すが、いま地下5階まで下りてきたエスカレータを再び地上2階まで上るのは面倒だし、あと数分で目の前のホームに新木場行が入ってくる。とりあえず千葉県方面を目指そうと、このままりんかい線に乗り込む。天気の良い日曜のお昼前、お台場・有明方面へ向かう乗客はかなり多い。地下区間でトンネル走行音が響く中でこっそりと立ち飲み、宴カードを実行。
東京テレポート(お台場・青海)と国際展示場(有明)で、立ち客もいた車内はスカスカのガラガラに。地下から高架へ出てきたところで、誰も座っていない座席に靴を脱いで上がって、正座して撮影。…英語禁止を破った罰である。
11:46 新木場で下車。11:54 の快速蘇我行が来るまでホームのベンチに腰掛けて、さっき大井町で買ったメロンパンを食べる。うまい。
蘇我行の車内で時刻表をめくって開いてひっくり返しながら、蘇我まで行くか武蔵野線に乗り換えるかを検討した結果、木下から新松戸まで約32kmだが、木下から逆方向に32kmだと佐倉である。京葉線で浦安あたりを走っている現状、佐倉よりも新松戸の方が到達しやすいのは明らかなので、南船橋で武蔵野線に乗り換えることにする。
12:09 南船橋着。隣のホームに府中本町行が停まっているが、薄情にも蘇我行と同時に出て行った。次の武蔵野線は10分後、蘇我行と同じホームで折り返す。
12:20 府中本町行が南船橋を発車。……目的地サミットカードが発動してから1時間弱、そろそろ誰かが目的地に着く頃合いではある。時刻表を見ると日中の成田線は30分間隔で、木下駅で上下列車が行き違うので、成田から来ても我孫子から来ても木下に着くタイミングは同じで、30分に1回。12:07には何の音沙汰もなかったので、次の12:37にはどこかのチームがゴールするはず。それまでにわがチーム藤はどこまで木下に近づけるのか。せめて新松戸まで行ければ、次のピリオドを比較的有利に始められるのだが……と思っていたら、12:36 にメールが着信してしまった。
水・熊・緑同着です
なんですってーーー!!??? よりによって、一人負けとは……。しかも単線の交換だから、12:37(=発車時刻)の数分前に着いてしまうのか。もう1駅、新松戸までいけるかと思っていたが、しょうがない、現在地新八柱で確定しよう。
第2ピリオド(木下)結果
チーム藤 | 新八柱→木下 | −480pt |
チーム水 | 根岸→木下 | +1450pt |
チーム緑 | 西大井→木下 | +1110pt |
チーム熊 | 川崎→木下 | +1110pt |
数分後、GMから得点計算のメールが。どこか1チームが得点をもらうか、3分の1ずつ分け合うかと思っていたら、GMの采配でなんとゴールした3チームすべてに加点。いっぺんにビリ転落である。それにしてもチーム水は根岸から木下へ、よくぞ到達したもんだ。私はバッグの中から、貧乏神の証であるピンクのハチマキを取り出し、かみさんは目的地が決まるまでの間、駅前ロータリーへ煙を吸いに出ていった。
…後編へ続く
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