東雲の卒業旅行第1弾・雪まみれの北紀行
 (2000年2月21日〜29日・6泊7日+車中2泊)
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【2月23日(水)】
 どさん子も驚く大雪の朝

  • 5:20 前日の昼間から寝てばっかりだったので、夜も約1時間おきに目が覚めていたのだが、そのうちに「ソーミーレードーレーミ、ソーミーレードーレミレミ」という林間学校の起床時間に必ず流れるクラシック曲(ペールギュント?)が廊下から聞こえ始めた。昨夜は船の浴室閉鎖のため、小樽のフェリーターミナルにある展望浴場で朝風呂に入るべく、洗面用具を引っ張り出す。 5:45 下船直前に何か食べておこうと思い立ち、自販機コーナーでチョコバナナアイス(120円)を購入。空きっ腹に冷たいアイスがじわーんと、しみることはなかった。

  • 6:00 定刻より1時間50分遅れて[小樽港]に着岸。下船口が開いたら、足元に冷気が滑り込んできた。さぁ朝風呂だ、とターミナルビルに入ったら、なんと本日まで「展望浴場は改装の為休業中」とのこと。さてどうしよう、としばし立ちつくすが、とりあえず腹ごしらえをしようと3階のレストランへ入り、和定食(850円)を食べる。焼き魚・海苔・明太子・大根おろし・イカの塩辛・肉団子とふきの煮物・きゅうりの漬物・梅干・味噌汁・ご飯。イカの塩辛を一口食べて北の幸を実感するとは、安上がりなものである。朝食を食べている間も頭がゆっくり揺れているような気がするのは、20時間近くも荒波に揺られていたからであろう。……外を見やれば、街灯に照らされて細かい雪がどんどん降ってくる。手持ちのヘッドホンステレオでSTVラジオを聴くと、石狩中部・宗谷地方に大雪注意報。札幌・小樽周辺を中心に日本海側だけが大雪の模様である。

  • 6:35 食べるものは食べたので、いよいよ朝風呂は小樽市郊外の朝里川温泉へ行こうかと思っていたら、ちょうどフェリーターミナルの玄関前にタクシーがやってきた。朝から入浴できる温泉浴場を、と言ったら「すぐそこにありますよ。朝里にもありますけど、遠いですよ。」との答え。じゃあそこを、と言ったら本当に目と鼻の先で、3分もしないうちに『小樽温泉アスパ』に着いてしまった。運転手さんが「知っている人がいますから、(朝も)やっているかどうか聞いてきます」と車を降りて正面玄関を入っていくと、車が正面についたのを迎えに出てきたおじさんと一言二言交わし、「8時までなら」とのこと。初乗り料金である530円ちょうど支払って、大きなカートバッグとともに館内へ。券売機で800円を支払って出てきたプラスチックの札をフロントに出すと、「2/23朝風呂1名様」と裏書きした入館券を渡してくれた。泊まりのお客さんもいるから、とのこと。午前4時以前入館は深夜割増だからである。

      風呂の内容は大浴槽と寝湯、サウナに露天風呂付き。酷寒の朝に露天風呂はキツいので、念入りに身体を洗いひげを剃り、大きな湯船に身を沈める。浴室内にいたのは私のほかに2〜3人だけ。後から来た人が一人、露天風呂へ入って(屋外へ出て)いった。

  • 7:40 じっくり温まってから、ゆっくり服を着て荷物をまとめる。8時から9時までは浴室の清掃なのである。ロビーで電話帳を開き、本日の第一目的地である小樽市東雲町界隈」に何か公共施設があるかどうかを調べる。結局、「旧寿原邸」と「堺町小学校」だけがみつかった。
  • 7:50 朝風呂の火照りが残っている上からコートをはおり、いざ出発。雪はやんで、朝日がさし始めた。とりあえずクルマがたくさん走る方を目指すが、臨港地域で朝からめったに人は歩かないようで、新たに降り積もった雪の上をカートバッグを引いて歩いてゆく。新南樽市場前の交差点に出たら、なんとその市場の先にMYCAL小樽があった。しかし朝8時から開いているわけがなく、後回しにして市街地を目指す。

    水天宮境内のトトロと、フェリー
  • 8:30 通勤時間帯だが、ほとんど自動車かバスなので、大通りでも歩いている人は少ない。JR南小樽駅前に寄ると、私立学校が近いようで児童・生徒が多く行き来している。ここから急坂をおそるおそる下りて、相生町付近から北向きの細く急な上り坂にさしかかる。20〜30cmの積雪で、山の上から降りる足跡が1人分だけついている道を、ただでさえ歩きづらいのにカートバッグを引きずりながら登って行くが、6合目まで来てしんどくなったので、取っ手のフレームを押し込んで背負いひもを引き出してフレームザックに早変わり。かえってバランスが取りづらくなったものの、どうにかこうにか高低差20mの急坂を登りつめ、高台の上の水天宮に到達する。境内にはトトロをかたどった、高さ2m以上の雪だるまが作られている(写真右→)。今朝乗ってきたフェリーや、マイカル小樽が望めるところで、地図によっては“展望台”と記載しているものもある。

    旧・寿原邸
  • 8:50 フレームザックをカート形態に戻して、登ってきた道と反対の北側へ下ると、「小樽市東雲町」の看板が見られる。旧・寿原邸(←写真左・東雲町8番地)は、大正元年に建てられた和風建築と庭園で、明治29年の小樽大火以後に地元実業家の間では、市内中心部の店舗とは別に見晴らしのよい高台に私邸を立てることが流行したのだとか。ここから少し下って堺町小学校の前に来た頃、急に雪がバサバサと降り出した。慌てて折り畳み傘を開いて足早に歩き始めたが、地元の人々はコートのフードを頭にかぶせる程度で、傘をさしている人は稀である。

  • 9:30 小樽駅前の横断歩道は、歩道と車道の境目に解けかかった雪がたまり、シャーベット状になっている。このまま転がしていくと、バッグのお尻をみぞれ雪に浸してしまうことになる。手提げの取っ手で重たいバッグを20cmばかり浮かせて駅前の横断歩道を渡るのは重労働だった。
  • 9:40 循環系統の路線バス〔ぱるて築港線〕に乗り込み、 9:53 [マイカル小樽]で下車。「西部警察ワールド」の前あたりなのだが、あいにく大門軍団には興味がないので素通りし、500mくらい歩いて、小樽築港駅に最も近い「VIVRE」から入る。ちょうど10時に開店したばかり。鉄腕アトムの絵はがきと『北海道ダイヤ時刻表』、そしてマイカル小樽内郵便局で「小樽後志景勝」という官製絵はがき(5枚・350円)を購入。屋内の噴水前広場のベンチで、知人へ絵はがきをしたためていたら、11:30になってしまった。郵便局で風景印を頼んで差し出し、余った1枚にも記念押印《※1》してもらう。小腹が空いたので、小樽SATYの食料品売り場でコロッケ(クリームシチューコロッケと、カレーコロッケ)を2つ買って休憩スペースで食べる。


    マイカル小樽内郵便局の風景印
    《※1》(風景印の)記念押印……郵便の消印には、文字だけの印の他に、地域の風景や名物のイラストを盛り込んだ“風景印”があり、観光地の局なら(集配局でなくても)あることが多い。駅や博物館などのスタンプとは異なり、消印の一種なので、「風景印で」と一言添えてハガキや封書を差し出すか、最低50円の切手を張ったノート等に押してもらう。私は、郵便局が製作している“官製絵ハガキ”を購入し、余ったうちの1枚に押してもらって持ち帰ることにしている。



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