東雲の卒業旅行第1弾・雪まみれの北紀行
 (2000年2月21日〜29日・6泊7日+車中2泊)
BACK【2/21】へ【2/23】へNEXT

【2月22日(火)】
 冬の日本海へいざ船出(げんなり)

  • 4:10 気が付くと、[宮内]に停車中。隣には、高崎で追い越された急行〔能登〕福井行が停まっている。〔能登〕はもう直江津あたりに居なければならない時間帯なので、ここで折り返して直江津へ向かうのかと思ったら、前向きに発車していった。それに続いて、当〔ムーンライトえちご〕も長岡へ向けて発車。間もなく上り寝台特急〔北陸〕がすれ違っていった。これは高崎線の事故とは無関係のようだが、こちらもかなりの遅れのようである。 4:25 [長岡]着。福井行〔能登〕は長岡で客扱いをせず、すぐ後ろ向きに出ていった。

  • 5:22 15分遅れて[新潟]で下車。まだ暗い。粉雪が間断なく降り注いでいる。新潟港からのフェリーは10時出航なので、ここでまた数時間をつぶさなければならない。まずは朝食を、と言ってもまだどこの店も開いていない。駅前のロータリーから1本裏の路地にあるデイリーヤマザキ東大通店へ向かう。キャスターがついたカートバッグを、雪道で初めて引いてみるが、雪がキャスターに詰まって回らず、転がしているのか引きずっているのかわからない。南関東で暮らす人間としては、車道の雪はすぐ解けてみぞれ状になるものというイメージがあるので、車道にも粉雪が積もっているのは極めて珍しい光景である。 5:40 サンドイッチ・手巻き寿司・ますの寿しおにぎりなどを購入。駅の待合室に戻ると、6時頃から各方面への始発列車が出るのに合わせて、列車待ちの乗客が席を埋めている。自動販売機で温かい緑茶を買い、待合室のベンチに座り、手巻き寿司とサンドイッチでごく軽い朝食をとる。

  • 6:30 ごく軽い朝食はあっという間に終わり、駅前のバスターミナルで路線図を眺めて時間をつぶすが、まだ雪はちらちら落ちている。フェリーターミナルに近い[末広橋]バス停へのバスは駅前からも出るのだが、暇つぶしがてら万代シティバスセンターを見に行ってみようと思い立ち、西小針・新潟大学経由・内野行バスに乗り込む。市内中心部は新潟駅〜万代シティなどで100円区間を設定しており、市内のちょっとした移動需要を掘り起こしている。「ばんだいスィティー」と英語に忠実な発音のアナウンスを聞いて、[万代シティバスセンター前]で下車するが、万代シティがあるダイエー新潟店をはるか通り過ぎて、万代橋の直前の最も遠いところで降ろされた。早朝の、誰も足跡をつけていない歩道を300mほど戻り、ダイエーの裏のバスセンターへ入る。このバスセンターは郊外線のターミナルだが、7時前なのでバスも人気も少ない。すぐそばのマクドナルドとミスタードーナツが7時開店の模様だが、旅先でファーストフードの世話になるのは最後の手段と心得る。しかしそれ以外にゆっくり座っていられそうなところはなく、とっととフェリーターミナルへ行ってしまおう。「万代シティ周辺バスのりば案内」という看板を見つめれば、さっき降りたバス停と同じくらい遠い。大荷物を引きずりながら歩道橋を上り下りし、たどり着いたところは[職業安定所前]という別名のバス停。 7:12 ちょうど東港線“山の下・臨港2丁目行”のバスがやってきたが、2扉あるのにマイクロバスで、早出の通勤客を満載している。せめて朝くらいは大型のバスを出せばよいのに、と思う。

  • 7:30 [末広橋]で下車したのは私1人だけ。フェリーに乗るのか、それとも降りてきたのか、乗用車も大型車も行き交う傍らで、新雪の歩道を進みながらラジオを聴けば、最低気温は氷点下5度くらいとのこと。しかし雪が積もっていて湿度があるのだろう、さほど寒さは感じず、むしろ東京・埼玉の真冬より暖かく感じられる。 7:45 [新日本海フェリー・ターミナル]に到着。乗船者名簿に記入し、学割証とともにフロントへ提出し、乗船券を買う。フロントの女性係員は、セーラーらしい水色と白の縞のスカーフを巻いている。2階ロビーへ上がると、ビニール張りのソファーがいくつかあるので、夜行明けの寝不足を解消するため、時間まで居眠りをする。時々目がさめると、そろいのジャンパーを羽織った若い男性ばかり数十名の団体が来ている。ボーイスカウトにしては年齢層が高く、また高校か大学のサークルの合宿でもなさそう。リーダーらしき人がかぶっているキャップの文字を読むと、富山県の陸上自衛隊で、寒中合宿に向かうらしい。着替え・入浴セット・手荷物だけ持ってロビーをうろついており、大荷物は車に収めてある模様。

    乗船券
  • 9:45 BSNラジオ(新潟放送)をボーッと聞いているうちに、予定より15分早く乗船開始。2階ロビーの一角にある売店で、新潟の新名物“柿チョコ”を買い求める。乗船券の半券をもぎられてエスカレータで3階へ上がり、ブリッジを渡って船内へ。いくつかある2等船室は定員60〜70人くらいで、腰ほどの高さのロッカーで4つに仕切られており、1つの区画が20人くらいで、定員分の毛布と枕が備えてある。自衛隊の団体さんは別室で、私が陣取った部屋はせいぜい20人くらいしかいない。 10:20 自動車の積み込みに手間取ったとかで、20分遅れて出航。港から外海へ出ると、さすが冬の日本海、よく揺れる。小窓からの景色は水平線ばかりで、さしあたって何もすることがないので、ごろりと寝そべっているが、貴重品をフロントへ預け、船内用スリッパを借りる。

  • 12:00 昼食のアナウンス。しかしよく揺れる船旅で、今後どうなるかわからないので、昼食は控えてそのまま横になる。しばらくして「海上荒天のため浴室閉鎖」とのアナウンス。入浴用具を洗面器ごと持ち込んだ自衛隊ご一行には(夜行明けの私にも)お気の毒である。小腹が空いたので、乗船直前に購入した「柿チョコ」を食べてみる。そもそも柿の種というものは生地から辛いわけがない、後で味付けをするのだからきっと「柿チョコ」も辛い味付けの代わりにチョコをかけたのだろう、まさか辛く味付けした柿の種にチョコを? と思って食べてみたら、本当に柿の種の辛さがついていた。ピリ辛で甘い。これが意外に合うと評する方もいるようで、まぁ悪くはないのだが、ちょっと面白い程度なのである。味を説明しようにも、「柿ピーから柿の種を取り出してチョコと一緒に食べた感じ」としか言いようがない。フクちゃんのチョコとんかつ《※1》を思い出した。

  • 15:00 ちょっと体を起こし、道内での予定を立てるべく時刻表に見入るが、目が回ってきた。小さな窓の外が見えない位置で、部屋全体は不動に見えるのに、部屋ごと大きく左右に揺れているので、三半規管には てき面に効く。昼食を抜いたことだし、あまり動かないようにと時刻表を閉じて目も閉じる。

  • 18:00 夕食のアナウンス。重い頭を上げて、1階上の食堂へゆっくり上がる。カフェテリア形式のレストランの列に並ぶが、立っているだけで気分が悪くなってきたので、残念ながら一旦トレイに載せたミニ鉄火丼(580円)とお新香(200円)を元の位置に返して、部屋へ戻って横になる。どのメニューも、デパートのファミリーレストランと同じくらいの価格で、メニューが豊富だっただけに、残念。次の機会には体調を万全にして臨もう。
     ……朝食はごく軽く、さらに昼・夜の2食を抜いてしまうとは、ある意味緊急事態なのだが、ただひたすら寝ているだけだから体力の消耗は最小限だし、1週間にわたる長旅をひかえた“節約”だと思えば楽なもんである。隣に揃えてある毛布も引き寄せ、2枚重ねてかけて寝る。 22:00 「海上荒天のため、翌朝の小樽到着が2時間ほど遅れます」というお知らせとともに消灯のアナウンス。


    《※1》フクちゃんのチョコとんかつ……早稲田大学西早稲田キャンパスの西門そばにあるとんかつ屋「フクちゃん」の人気メニューが、「チョコとんかつ」略して「チョコとん」。店の入口のガラス引き戸には内側から明治チョコレートの包み紙が張ってあり、しゃれにならない。とんかつの肉はやわらかくて結構おいしいのだから、チョコなんか挟まなくてもいいじゃないの。とりあえず早稲田の新入生はサークルの先輩におごってもらえる(食べさせられる)ので、「チョコとん」を1度食べた人はかなり多い(が、2度以上食べた人はかなり少ない)。姉妹品に「チョコメンチ」。フィリングは他に、ジャム・しそ・チーズ・のり etc.。……ふつうのとんかつってあったっけ?


    BACK【2/21】へ戻る 【2/23】北海道は今日も雪だったNEXT
    TOP【国旅主義・目次】へ 臨海亭東雲