東雲のGW北紀行・十勝後志縦横無尽
(2002年5月3日〜6日・3泊4日)
【5/5】その2へ
◆
【5月6日(月)】
お土産を買って帰るだけ
9:00
「何時に起きてどこへ行こう」という予定が何もないので、昨日とは打って変わって、すっかり朝寝坊である。帰りの飛行機は新千歳空港
14:30
発なので、あと半日残っているのだが、札幌・千歳近郊でちょいと行ってみたい所が、今のところ思い当たらない。昨晩にビール園へ出かけるときにバスで通りかかった「サッポロファクトリー」も、ごく最近の札幌の人気スポットとして知られているが、似たような施設は関東にも数多くあるので、わざわざ行こうとも思わない。もうこうなると、お昼前の便でとっとと帰ってしまってもいいのだが、連休最終日ということもあって変更がきかないだろうから、せいぜいおみやげ選びを念入りにやることである。
もう9時を過ぎたので、朝食のサービスはすっかり片付けられてしまったに違いない。喫茶店のモーニングサービスは、まだやっているだろうか。シャワーを浴びて歯を磨いて、荷物をまとめて、あっという間に10時である。チェックアウトと言っても、ルームキーは紙製のカードキーだから返却する必要はなし。精算は前払いだし、ルームサービスも外線電話も使っていないから、ホテルを出るときにフロントへ立ち寄る必要もない。ちなみに、私は使用していないが“有料ビデオ”も、自動販売機コーナーで1,000円のカードを買ってきて、部屋のテレビに附属するチューナーを通す方式なので、フロントへ知られることもないだろう。
10:00
頃
ススキノグリーンホテル3
をチェックアウト。西へ2ブロック歩いて、ススキノの繁華街の一角にあたるが、地下鉄南北線が下を走る“札幌駅前通”以外の脇道は人がまばら。“札幌駅前通”に面したコンビニで菓子パンと飲み物を購入、道端にちょいと腰掛けて、ラジオを聴きながら遅い朝食。振替休日の月曜日なので、平日のワイド番組を通常営業しているが、その内容は「帰りの渋滞にはまっている方、お電話を」「連休最終日・今からでも間に合う行楽スポット」などなど。番組の合間には、5月下旬にプレゼント大放出するというスポットCMが頻繁に流れる。たとえば
HBCラジオ
なら、札幌の周波数
(1287kHz)
にちなんで128,700円ずつを何人かのリスナーへプレゼントとか。どうやら、5月下旬に
聴取率調査週間《※7を参照》
を控えているようである。
すすきのの交差点
(南4条西4丁目)
に、ロビンソン百貨店がある。私が知っているロビンソンは春日部と宇都宮だけで、北関東ローカルと思っていたので、ちょっと意外。3階以上が改装中のようで、……といっても上の階には用がなく、地下の食品・土産物売場へ下りてみる。地元・北海道の品物もあれば、東京に本店があるお菓子や乾物の店もあり、少しずつ戸惑いながら、ただうろうろと2〜3周歩いて、何も買わずにまた外へ出てくる。すすきのを東西に横切る月寒通(国道36号線)の真ん中に、市電のすすきの停留所がある。どうせ時間があるんだから、市電に乗ってみてもよかったのかもしれないが、ただ乗り通すのもあほらしいし、途中で降りたいポイントも思い当たらない。結局これも素通りして、また“札幌駅前通”を北上する。
10:40
頃 狸小路を過ぎると、PARCO・三越・マルサ・大丸藤井・丸井今井など、デパートや大型商業ビルが軒を連ねる大通地区にさしかかる。そろそろおみやげを買わなければと、丸井今井の地下名店街へ足を踏み入れる。会社の同僚から強く頼まれている
「白い恋人」
や、ハスカップ果汁エキス
「ドラキュラの葡萄」
、鉱泉せんべいみたいな
「山親爺」
など、そして
(農業のついでに芸能人をやってる)
田中義剛の
「花畑牧場」
のソーセージ詰め合わせ
は、翌週の母の日に自宅へ届くようにクール便で申し込む。……こうして書き出してみると、結構買い込んだなぁ。デイパックの中に詰め込んで、入りきらない分は手提げの紙袋を詰め替えて、なんとか一つにまとめた。2つも3つも紙袋をぶら下げては、人ごみの中で邪魔になるし、帰りの電車で1つくらい網棚に置き忘れるおそれもあるし。……以前
“大阪てんこもり紀行”
の帰りに、お土産の紙袋を高崎線の網棚に忘れて下車してしまい、駅員へ申し出たものの見つからずじまいだったというほろ苦い経験がある。
11:30
頃 買い物をひととおり済ませて、丸井今井の地下1階から大通駅の地下通路へ。大通公園の直下にあたるので、人も集まるから賑やかな地下街になっているのかと思いきや、ただの地下鉄駅の通路という風情。なんとも拍子抜けだったが、よく地図を見れば大通界隈には、東西線大通駅の北に並行する
「オーロラタウン」
、そして南北線の大通駅とすすきの駅をつなぐ
「ポールタウン」
の2つの地下街が伸びている。そういえば、以前に札幌へ来た時は、オーロラタウンでコンサドーレのTシャツを買ったんだっけ。とか何とか考えながら、[大通]から[さっぽろ]まで地下鉄南北線で一駅。
11:55
[札幌]始発の〔快速エアポート116号〕に乗車。〔快速エアポート〕はいつ乗っても混んでいるのだが、やはり連休最終日、今日も観光・行楽帰りの人々で混んでいる。札幌から新千歳空港へは道央自動車道が並行しているので、運賃が安い高速バスも多数運行されているが、札幌市内から70〜80分かかり、スピード面では札幌→新千歳空港36分の〔快速エアポート〕にかなわない。
12:31
地下駅の[新千歳空港]に到着。エスカレータで出発ロビーに上がれば、そこには全道のおみやげが集結したショッピングストリート。さっきの丸井今井の地下よりもよっぽど賑やかで、圧縮されていて、そして騒々しい。でも私はさっきの丸井今井でゆったりと買い物を済ませてしまったので、雰囲気を味わうだけ。出発便の電光掲示板の最下行には、「本日は混雑が見込まれます。お早めにチェックインを」というメッセージが流れつづけている。お説ごもっとも、私もさっそくチェックインして、ついでに荷物も預けてしまう。旅の荷物を詰めたデイパックと、おみやげを一袋にまとめた紙袋。両方預けてしまったので、すっかり手ぶらになった。ターミナルビル内をふらふらとさまよいながら、屋上の見学者デッキにも上がってみる。向かって左から右に離陸していく飛行機。その向こうは、鬱蒼と茂る針葉樹の林と、視界をさえぎる物のない原野。自分の中で「空港」は、海や工場地帯をバックに離発着するという、羽田っぽいイメージがあったので、森林と原野の中の空港というのは新鮮に感じられる。
14:00
頃 機内持ち込み品を持たず、手ぶらのままで手荷物検査場の列に並ぶ。やはりこの時間から、東京・大阪方面へ帰る人が集中し始めたようだ。ゲート手前でトレイを受け取り、小銭入れやPHS端末、家のカギなどをトレイに並べて渡し、ゲートをくぐると「ピンポーン」と鳴ってしまった。やや緊張しながら、レンズの入っていない虫眼鏡の大型模型みたいなやつ
(要するに、手持ち型金属探知機)
で体表をかざされる。係員の人に「携帯電話とか、ラジオとか持ってますか?」と尋ねられて、胸ポケットの携帯ラジオにようやく気付いた。それを手渡して、めでたく関門通過。
出発ロビーにも土産物が売られているのだが、コーヒーなどの飲み物を売るコーナーで、
“夕張メロンソフト”
を発見。そういえば、北海道を3泊4日にわたって旅してきて、多種多様なソフトクリームやアイスクリームを食してきたが、肝心の
夕張メロンソフト
は今まで食べる機会がなかった。あと数十分で北海道を後にするというのに、あえて新千歳空港の搭乗口前で、4日間の旅の余韻を感じながら、男ひとり、
夕張メロンソフト
をちょっとずつ食べているのであった。
14:30
〔JAL 512便〕札幌(新千歳)発・東京(羽田)行の機内へ案内される。帯広へ来た時の飛行機と、E列の位置が違うな、などと飛行機そのものの大きさが違うことに気付かず軽く戸惑いながら
(だって鉄道車両は、新幹線以外はほとんど同じ大きさなんだもん)
、自分の席につく。全ての席が埋まったところで出入口の扉が閉まり、飛行機が動き出す。行楽帰りの家族連れもいるようで、狭い機内で子供が騒いではかなわないので、座席に備え付けのイヤホンでオーディオサービスを聴く。演芸チャンネルに合わせると、帯広行で聴いたのと同じ内容だったので、インストゥルメンタルのチャンネルに切り替える。離陸前後、機内アナウンスに寸断されたのは覚えているが、水平飛行に移る前に眠ってしまったようである。それも結構長いこと居眠りしていたようで、目が覚めた時には、目の前の座席の背に「おめざめですか」というメモが残されていた。「お休みだったようなので、お飲み物を差し上げませんでした。お目覚めの折は、お気軽にご用命ください」みたいな文面で、かえって当方が恐縮してしまう。搭乗直前にソフトクリームを食べたばかりで、何か飲まずにいられないというほどでもなかったので、結局飲み物は何も頼まないまま、再びベルトサインが点灯した。
16:00
[羽田空港]に到着。さすが東京札幌線と言うべきか、ターミナルビルに直付けして下ろしてくれた。手荷物受取場でデイパックとお土産の紙袋を間違いなくピックアップして、到着ロビーに出る。3日前に羽田へ来た時はモノレールだったので、帰りは京浜急行にしようと思い立ち、手持ちの定期券が有効のJR日暮里まで590円のきっぷを購入。改札を入って階段を下りたところからプラットホームがそのまま前方へのびている。ホームの左右にはすでに列車が止まっており、左は京成の車両・右は都営浅草線の車両。どうやら右の急行が先発らしいが、階段を下りたところの1両目はすでに立ち客が多く大混雑。これでは後ろの車両も座れないかな、と思いながら歩いていくうちに、目に見えて客数は減り、後ろ3両は空席だらけ。最後尾の8両目にたどり着いたら、7人がけのロングシートに1人ずついるかいないかという状態だった。喜ぶよりも、1両目と8両目の落差に唖然としながら、列車は間もなく発車。ざっと観察したところによると、この駅の入口は空港ビル地下に直結した改札口1ヶ所だけで、その改札からホームへの階段も1ヶ所だけ。しかも階段を下りたところがホームの端で、乗客は1両目(品川寄り先頭)に集中してしまうという構造になっていた。大半の乗客にとっては、「いつ発車するかよくわからないから、混んでいてもいいからとりあえず乗り込んじゃおう」ということなのかもしれない。長旅でお疲れだろうに、せめて始発駅の羽田空港からの電車も座っていけばいいのに。
16:45
頃 [品川]で下車、山手線へ乗り換え。休日の夕方なので、やっぱり混んでいる。[浜松町]に着くと、大荷物を抱えたモノレールからの乗り換え客が乗り込んでくる。お互いに、もとは羽田空港から来たのだが、なんとも妙な気分である。
17:05
頃 [上野]に到着。ふだん、会社帰りは上野始発の高崎線に乗るから、勝手知ったる上野駅なのだが、周囲の客層とか、自分の荷物とか、そして何よりもまだ日が沈んでいないことも、私に“非日常”感を抱かせる。乗車口に並ぶ人影もまばらな7番線から
17:24
発の〔快速アーバン〕に乗り込めば、うとうとしているうちに
18:10
[鴻巣]着。自動改札を出るときに、羽田空港から日暮里までのきっぷを投入して、日暮里から鴻巣まで有効のSuica定期券を感知部にタッチすると、「ピンポーン」と出場不能。逆に、先にSuica定期券をタッチすると、「入場記録がありません/最終出場記録:羽田空港……」などと表示画面に出て、きっぷを入れる前にNG。ここで磁気式定期券なら、自動精算機に切符と定期券を入れて「0円の精算券」を出して、自動改札を通過できたのだが、Suicaは自動改札機で精算するという前提なので、精算機で精算できない。仕方がないので、最終手段として有人改札口へ申し出て、「このきっぷは日暮里まで買ったんです」と言いながらきっぷを渡し、Suica定期券の券面を見せて、改札をようやく出ることができた。
……今でこそ大々的に普及している「Suica」だが、「私鉄+JRの連絡乗車券」と組み合わせできないというのは、思っても見なかった“弱点”だった。京急:品川の乗換改札口が「Suica」未対応だったため、乗換改札を通るために連絡乗車券を買ったことが、裏目に出てしまったのである。なお、現在では首都圏ほぼ全ての
JR⇔私鉄の乗換改札口が「Suica」対応済
なので、今回のケース(羽田空港〜品川〜日暮里〜鴻巣)では、
(1)きっぷは品川まで買って、(2)品川駅の連絡改札口は「品川までのきっぷ」と「Suica」で通過、(3)鴻巣駅では「Suica」だけで出場。品川〜日暮里は「Suica」で精算
という形がベストである。なお、逆にJRから私鉄へ乗り継ぐ場合は、乗換改札の手前にある有人窓口で私鉄分の切符を買い求める、という従来どおりの手順である。
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