東雲のGW北紀行・十勝後志縦横無尽
 (2002年5月3日〜6日・3泊4日)
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【5月5日(日)】その2
 余市を歩いて、そして生ビール

  • 12:36 の定刻よりも2分ほど早く、 小沢駅(無人駅) [小沢]の駅に、下り快速列車〔ニセコライナー〕札幌行が入ってきた。ここですれ違い待ちをするらしい。かつてはここ小沢から、日本海に面した港町:岩内まで、14.9kmの岩内線が分岐していた(1985年6月末に廃止)ため、駅構内は線路4本分くらい並べられる程度の広さを有する。ホーム1面だけで、駅舎とホームの間に下り線が走っているから、跨線橋を上り下りしなければホームへ入れない構造。しかし、列車の本数は少ないんだし、列車の長さもせいぜい2〜4両なんだし、昨今の“バリアフリー化”に逆行するような跨線橋は撤去して、緩やかなスロープをつけた“構内踏切”に改造すればよいのではないか。どうせ通過列車は臨時列車しかないのだし。
      さっき小樽から倶知安へ来た時と同じ車種だなと思ったら、単にさっきの倶知安行が折り返しただけだった。4連休の最中でも空席だらけの快速札幌行は、小樽から快速運転になる。以前に北海道へ来た時、小樽から札幌への快速がたまたま倶知安方面からの〔ニセコライナー〕で、2両編成が大混雑したのを思い出した。

  • 13:13 [余市]で下車。積丹半島の付け根にある港町に来たからには、寿司でも刺身でも、何か旨い海の幸を食べておきたい。駅前ロータリーから駅入口の十字街へ出ると、左手には大規模な海産物の店があり、どうやらその2階が食堂になっているようだが、午後1時を過ぎてなお大行列である。札幌・小樽方面から列車で駆けつけたのか、それともクルマで乗り付けてきたのか、食欲旺盛そうな中年女性が大行列の大半を占めている。階段を上がる前から並ぶよりは、商店街の中の別の店へ入ったほうがよさそうなので、海産物も何も買わずに移動する。
    ジェラートアイス(ワイン)   余市の観光スポットとしては外せない「ニッカウヰスキー北海道工場」の前を、なんのためらいもなく通り過ぎ(だってウイスキー飲めないんだもん)道の駅「スペース・アップルよいち」へ。道の駅と言っても「余市宇宙記念館」と併設になっているので、“道の駅の駐車スペース”というよりも、“記念館の駐車場”という感じである。余市駅から歩いて5分程度で、余市市街の真ん中にあるので、わざわざ“道の駅”にしなくてもよかったのに。……でもまぁ、札幌・小樽方面からニセコ方面と積丹方面への分岐点にあたるので、こういうご当地アピール施設があってもいいのかなぁ。ちなみに、ここ余市町はリンゴやブドウ・さくらんぼなどの果物の特産地であり、宇宙飛行士・毛利衛の出身地である。

      宇宙記念館に向かって左手に、おみやげや軽食コーナーがあり、パラソル一本立てて魚の干物や燻製を売っている“露店”もある。午後になって雲が厚くなり、薄ら寒く、またにわかに風が強くなってきた。干物の露店も、商品が飛ばされそうで、早々に閉店準備である。そんな中、ゲソザンギとワインジェラートアイス(写真右→)を買い求める。“ザンギ”は、北海道の家庭ではごくポピュラーな料理で、鶏肉の唐揚げに極めて近い。唐揚げの衣に卵を混ぜて揚げたものらしいが、並べて比べない限り、違いはわからない。“ゲソザンギ”も、イカのゲソの唐揚げとどう違うのかよくわからないが、いずれにせよ旨い。そしてジェラート風のワインアイスは、言われてみれば、なんとなくワインっぽい香りがする。……写真にとって見たが、バニラアイスやミルクアイスに比べて青白くほんのり赤いので、ワインっぽく見える。

    よいちインフォメーションマップ(縮尺デタラメ)
  • 13:50 道の駅「スペース・アップル よいち」を後にして、余市川にかかる余市橋を渡る。入舟町のセブンイレブンのはす向かいに余市川温泉(左図(ホ)の位置)がある。余市町内の各地に日帰り入浴できる温泉施設が6ヶ所ばかりあるようだが、ここは駅から比較的近いので、何か海の幸を味わった後で一風呂浴びに来よう。とワイスのリベンジを期したところで、そろそろ昼食にありつきたい。しかし、現在地には余市川温泉とセブンイレブンと、閉まっている郵便局しかない。ここで右折、さっき渡った余市橋の下流にかかる大川橋(架け替え工事中)を渡って、大川町アーケード街へ。といっても、めぼしい店は全く見当たらない。ふとん屋さんとか電気屋さんとか八百屋さんとか、そういう食事ができないお店ばかり。まだ日が高いうちから居酒屋が開いているわけもなし。思い出した頃に見かける割烹のような寿司屋のような店構えは、どうも入りたくなる雰囲気ではない。さっき余市駅でピックアップした『よいちインフォメーションマップ』には、ご丁寧に“飲み処”“食べ処”などが記されており、それをたよりに大川町交差点から国道5号線に入り小樽方向へ歩いてみる。その『マップ』によれば、大川橋から大川町交差点までと同じくらいの距離(400mくらい)を、さらに大川町交差点から東へ進めば、大川小学校と旭中学校があり、その先に緑丸印の“食べ処”があるはずなのだが、歩けど歩けど大川小学校が見つからない。 あらためて『マップ』をにらみつけてみるのだが、どうもこの地図は縮尺があやしい
    縮尺にムラのない地図   大川町交差点から国道5号線の歩道を「まだかまだか」と呪うようにつぶやきながら東に向かってひた歩き、大川小学校まで約15分。そして『マップ』では大川小の東に隣接するように見える旭中学校は、大川小からさらに徒歩10分以上離れていた。帰ってから正しい地図で調べると、大川町交差点から旭中学校までは1.6km。……駅に置いてあるのだから、徒歩の観光客を当てこんで制作したに違いなく、こんなデタラメな絵地図をつかまされては、たまったものではない。絵地図一枚で、観光地・余市の印象が下がるとしたら、余市の観光協会の罪は大きい。

  • 14:45 ひどい絵地図に騙されてさんざん歩かされた後で、 らーめん・じょぐら 今来た道を引き返しながら、昼食にありつける場所をまだ探していた。店先に「ラーメン」ののぼりがはためいてるけど見た目がそば屋っぽい食堂は、14:30から休憩。もうすこし西へ歩いて、「らーめん じょぐら」という派手な看板のラーメン屋に入った(←写真左)。連休中とはいえ、もう15時に近いので店内に先客はなし。入口すぐ左側の販売機で食券を買おうとすると、セットメニューがあるようなので、味噌ラーメンのセットを選ぶ。食券制といっても立ち食いそばとは異なり、生麺からゆで始めているようである。ふと、目の前には調味料一式と一緒に『じゃらん』が何冊か置いてある。付箋がついているところを開くと、なるほど、この店が紹介されている。さすがに店入口のガラス戸に貼り出してはいなかったが、各テーブルごとに『じゃらん』が置いてあるのは、ほほえましくもある。たまたま聴いているHBCラジオでは、女性パーソナリティが留萌・羽幌方面の「道の駅」のスタンプを集めてまわった、という話をしている。
      ラーメンを待っているうちに、後から家族連れが1組、テーブル席にやってきた。やがて、壁際のカウンター席の私の元へ、味噌ラーメンのセットが届けられた。味噌ラーメンそのものは特別なものではなく、至極真っ当な一品だが、このセットのポイントは、本来は平日昼間限定だという「甘えび丼」。小ぶりなどんぶりにごはんをよそい、その上に殻をむいた甘えびがざっと20匹、上からわさび醤油がかかっている。寿司屋で出すきらびやかな海鮮丼には程遠いが、シンプルで旨い。今回の北海道旅行3泊4日で唯一のラーメンと、海鮮っぽい丼で、ようやく腹は満たされた。

  • 15:10 「らーめん じょぐら」を出て、HBCラジオ「大泉洋のさんさんサンデー」を聴きながら大川町交差点を左折、余市駅の方へ向かう。テレビ朝日のパフィーの番組に時々出演していた大泉 洋(おおいずみ・よう)は、北海道の若者の間では日高晤郎以上の人気を集めているらしい(が、日高は大泉の芸風に眉をひそめているらしい)。今春4月から始まったばかりで、午後3時台の1時間を独りで仕切っているが、スケジュールが定まらないらしく、今回は前週火曜の晩に収録したと言っている。リスナーに募ったハガキのテーマは“思い出のテレビドラマ”で、ハガキ1枚読むたびに、誰が出ていて、どういうストーリーで、どんな名セリフがあって、といちいち盛り上がって、「わぁ、全っ然ハガキ読めなかったぁ。来週も同じテーマでやりますっ!」というのが楽しい。彼だったら、きっと今すぐにオールナイトニッポンが務まる(というより、今のオールナイトニッポンは、ナインティナイン以外はとても聞ける代物でない)。ラジオだけでいいから、彼を全国に売り出すべきである。いちいち自腹で東京へ通ってもらわなくても、ネット局であるSTVから発信すればよいのだし。……ちなみに、彼が出演している北海道テレビ「水曜どうでしょう」が再編集されて、impress TVで配信されていたり、「どうでしょうリターンズ」としてとちぎテレビテレビ埼玉など全国ところどころでネットされていたり、と知る人ぞ知る人気番組になっているようである。

  • 15:45 駅のそばの独立系コンビニでアイスクリームを買って、駅の軒下で食いながら「大泉洋のさんさんサンデー」に聴き入る。ふと駅の中を見ると、臨時特急用のリゾート車両が止まっていて、ツアー客らしき人々がぞろぞろ出てきた。号車番号入りの旗を掲げる男性添乗員の後について、団体客がぞろぞろと駅前十字街を渡り、ウヰスキー工場へ向かっていく。翌日の新聞によれば、JR北海道が企画した行先不明のミステリー列車ツアーだという。アイスを食べ終えて、その人ごみにまぎれながら、道の駅の先にある「余市川温泉」へ向かう。余市川の橋にさしかかると、ちょうど「さんさんサンデー」はエンディングを迎えて、16:00。 余市橋を渡りきって左側にある「余市川温泉」は、温泉浴場というよりも銭湯という規模で、入浴料(大人)370円という価格設定も銭湯並み。券売機で入浴券を買ってフロントへ出し、男湯の脱衣場へ入れば、それはそれは大入り盛況。電気風呂や薬湯、サウナに露天風呂まで、お風呂の種類が豊富で楽しい。銭湯並みということで、石鹸・シャンプーの備え付けはないが、貸しタオルなどが付いた“手ぶらセット”というのもあるらしい。
      風呂から上がって服を着て、荷物を整えて、最後に腕時計を左手首に着けると、合成ゴム製のバンドがちぎれた。風呂につけていたわけでなく、それほど酷使した覚えもないが、よく見れば他の部分もひびが入っている。腕に付けられないとなると、ズボンかブルゾンのポケットに入れるしかなく、不便。よからぬ兆しでなければいいのだが。

    余市川温泉のマスコットキャラクター
  • 16:30 ……そんな重たい気分を吹き飛ばしてくれるのは、帰りにフロントでもらったチラシ。色刷りのリーフレットか何かあるだろうと思ったが、最初に出されたのはなぜか軽食コーナーのメニュー。いや、そうではなくて、と別の物を促して出てきたモノクロコピーのチラシには「日帰り入浴歓迎」と書いてあるが、宿泊施設はない。さらに、「宇宙飛行士毛利衛氏が生まれた温泉」というツッコまずにいられないフレーズが書いてある。さらに、駅から温泉への道の途中に立っている看板には、誰が考えたのだろうか、余市川温泉のマスコットキャラクターが、しかも男女ペアになっている。その名は、シャトルくんとシャトコちゃん(写真右→)。すげぇ、スペースシャトルが温泉に入ってる。……そんなことで遊んでいるうちに、列車の時間が迫ってきたので、駅へ向かって駆け出す。温泉に入ったばかりなのに、やや汗ばんでしまい、軽く自己嫌悪。車道の方は、積丹半島から小樽方面へ帰る車が余市市街でびっしりつながっており、国道5号線が余市町内で5km渋滞したとか。

  • 16:45 2分ほど残して[余市]駅にたどり着く。然別始発の小樽行き普通列車に乗車。こちらもやや立ち客が出る混み具合である。
  • 17:12 [小樽]に到着。すぐに札幌方面行きの快速が連絡するかなと思ったら、区間快速が4分前に出たばかり。17:24発の千歳行普通は手稲で快速に抜かれるので、17:34発の快速〔エアポート180号〕新千歳空港行に乗り込む。721系6両編成で、車両の両端だけでなく真ん中にもデッキがあるので、客室部は半分ずつに仕切られて狭く感じる。4号車の半分が、札幌〜新千歳空港間は指定席“uシート”となるのだが、それとは関係なく一番前の車両に座る。南小樽・小樽築港・手稲に停車して、座席はほぼ埋まった。
  • 18:06 [札幌]6番線に到着。入れ替わりに乗ってくる利用客がかなり多い。JR札幌駅構内にあるバス情報案内システム(浦和駅西口にあるのと同じ)で、札幌駅前からサッポロビール園へ行くバスを検索、その乗り場を確認する。……ビール園が閉まる22時過ぎでも運行するらしい。ここでいったんホテルへ戻る前に、札幌駅南口のショッピングビル「ESTA」内のビックカメラ札幌店に立ち寄る。余市川温泉の脱衣場で切れてしまった、腕時計のバンドを交換する。バンドの幅を確認し、むやみに豊富な品揃えの中から一つ選んで支払い、その場で5〜6分程度でバンド交換をしてもらう。これで左手首に腕時計が復活、残り少ない今後の旅程には支障ないものと思われる。

  • 18:30頃 地下鉄東豊線の[さっぽろ]から[豊水すすきの]へ移動、ホテルへ。フロントでカードキーをもらい、チェックイン機に通して、もう1泊分の料金を払い込む。磁気カードになっていて、黒い裏面には白インキで「Love Beer?/サッポロ黒ラベル」の広告が入っている。
    市バス「ファクトリー線」のリーフレット
  • 19:10頃 ミニバッグの中身を詰め替えて、再びホテルを出て[豊水すすきの]から[さっぽろ]へ地下鉄で移動。西武・東急の南側、北4条通りに〔環88〕ファクトリー線の乗り場がある。19:30発のバスに乗り込めば、乗客は私を含めてほんの数人、しかも私以外はサッポロファクトリーまでで降りてしまった。すすきのや大通の繁華街から離れた所に忽然と現れた「サッポロファクトリー」は、シネマコンプレックスも含む総合商業施設だが、夜の照明は控えめで落ち着いた感じというか、ひっそりと静かな感じ。住宅地に隣接しているから、あまり派手にできないのだろう。車内には、ファクトリー線のリーフレットが置いてあるので、1部もらう。サッポロビール園を起点に、サッポロファクトリー→大通→道庁赤レンガ→札幌駅→時計台→狸小路→二条市場→サッポロファクトリーとまわってビール園へ戻ってくる半循環路線で、日中は15分おき、朝と夜でも20分おきに運行している。

  • 19:50 [サッポロビール園]に到着。昨日まで十勝を一緒に走ったT君とは、20時に現地集合ということになっているが、まだ姿が見えない。予備校でT君に教わった生徒が某大学に受かり、今は長万部で勉強しているそうで、その教え子とその友達が来るらしいが、初対面なのでいささか不安である。20時を過ぎても、バスやタクシーから降りてくる人々の中にT君を見つけることができない。たまりかねて、T君の携帯へ電話してみると、「教え子と2人で、タクシーで向かっている最中。今どこだか、よくわからない」という返事。……教え子の友達はどうしたのだろうか。初対面の不安とは別の不安を抱きながら、ビール園総合案内所の右手にある軽食ブースへ行ってみる。軽食と言ってもアイスが主体で、ミルクやメロンなどの北海道らしいソフトクリームに混じって「生ビールソフト」「黒ビールソフト」の文字が。ビールがソフトクリームになったときの味が、全く想像できない。……これは食べてみなければ。日がすっかり沈んで涼しくなってきたのにもかかわらず、黒ビールソフトを一つ購入。まず見た目は、暗くて分かりづらいのだが、ミルクソフトクリームにイカスミを1滴だけ混ぜたような、言われなければ判らない程度。さっそく一口食べてみると、紛れもないミルクベースのソフトクリームだが、なんとなく黒ビールっぽい“ほろ苦さ”が感じられる。「ビールのソフトクリーム」と銘打つからには、もうちょっとビールの味が濃くてもいいような気がしたが、甘いソフトクリームとの兼ね合いで、これが精一杯なのだろう、と自己完結的に納得する。ゆっくり、じっくり味わって食べ終えたが、T君ご一行はまだ来ない。
      携帯ラジオで野球を聞きながら、案内所の前にたたずんで待つ。予約はしていないから“すっぽかし”にはならないものの、飲み放題・食べ放題のコースは100分と決まっているので、閉園の22時を考えると、20:20までに入らなければならない。しかし、T君と教え子がタクシーでやってきたのは20:15頃。しかも教え子の友達2人は、「金がないから」と札幌駅北口からビール園まで歩いて来ると言う。

  • 20:30頃 北8条通りに面したビール園入口から、宵闇の中を若い男が2人、のこのこと歩いてやってきた。教え子の友達2人である。閉園まで100分を切ってしまったが、ようやく参加者5名がそろったので、T君に受付を済ませてもらう。ホールに入り、案内された席について間もなくガスコンロに点火。ジョッキの生ビールで乾杯をしてから話を聞けば、昨晩T君は新得で私と別れた後、日勝峠を越えて苫小牧のビジネスホテルに宿泊。翌朝は道央道を西進し、長万部の大学に通う3名を伊達紋別まで迎えに行き、その後北上して羊蹄山麓やニセコあたりをレンタカーで走り回っていたのだと言うから、けっこうなニアミスである。夕方に札幌へやってきて、3人は札幌駅北口のホテルを探してチェックイン。T君は新千歳空港までレンタカーを返しに行って、電車で札幌へ戻ってきたらしい。
      今日一日、レンタカーの中でどれだけ会話が弾んだのかわからないが、ビール園へやってきてからも、あれこれ話が尽きないようで、特に高校と予備校の話が盛り上がるが、予備校どころか大学受験を経験していない私は専ら聞き役と食べ役に徹する。それでも若手3人のうちの1人が、ドーム型のジンギスカン鍋が北海道をかたどっていることに、食べ始めてから40分かかってようやく気付くという適度な天然ボケだったりして、バカ話にも花が咲いて楽しい。飲み疲れて食べ疲れた終盤30分は、他愛もない話だけで笑っていたような気がするし、初対面の君達にこんなこと言うのもナンだけど、ひとこと言わせてもらっていいかな。あんた達バカだよ!(笑)」と口走ってみて、3人とも「ひぃ〜、そのとおりですぅ(笑)」などと喜んでくれた。彼らもコサキン《※11》リスナーなのかもしれない。

  • 22:20 所定の時間よりもやや長居して、ホールを出てきた。そういえば、一応デジタルカメラを持ってきたのだが、すっかり忘れていた。もうみんなヘベレケで、今さら記念撮影する気づかいもないので、そのまま出さずに持っている。案内所前のロータリーには客待ちのタクシーが十数台、列をなしている。長万部で学ぶ若手3人は、1台のタクシーで札幌駅北口のホテルまで戻るというから、安上がりである。22:40の終バスもあるが、T君は札幌駅南口のホテルへタクシーで戻るというので、私もT君と同じタクシーに乗り込む。札幌駅前からすすきのへ、北海道最大の繁華街にしては車の量が少ないような気がする中を、スイスイと通り抜けて、通行人も対向車もごくまばらな豊水すすきの駅前を通り過ぎて、ホテルに到着。
      帰りも市バスと地下鉄を乗り継いで帰るつもりだったが、タクシーに乗ってしまったので、「エコキップ」を使えなかった。ここで一日を振り返ってみると、(1)朝ホテルからさっぽろへ(200円)、(2)夕方、札幌駅からホテルへ(200円)、(3)すぐに地下鉄でさっぽろへ、そして市バスでビール園へ(乗継ぎ320円)、と合計720円。辛うじて元を取ったことになる。そんな、せせこましい損得勘定をしながら、寝巻きに着替えてとっとと床についた。



    《※11》コサキン……小堺一機と関根勤のコンビを指す愛称、もしくはTBSラジオの人気深夜番組「コサキンDEワァオ!」のこと。1回か2回聴いただけではアクが強くて受け入れにくいが、3回以上聴いてしまうと意味もよくわからないのにハマッてしまい、つい10年聴き続けてしまうという。私も、この番組で紹介された「マツケンサンバ」を舞台で見てみたくて大阪へ行ったことがある(国旅主義第5回“大阪てんこもり紀行”を参照)。ちなみに、ラビーこと関根が放送中に暴走(もしくは妄想)し始めると、ムックンこと小堺は「関根さん、ちょっといいですか。あなた、私の先輩ですけど、ここはハッキリ言わせてもらいますよ」と前置きした上で「あんたバカだよ!」と一喝。それを受けたラビーは「ひぇー、叱られちゃったよぉ。リサ、リサぁ〜」と、なぜかリサ=ステッグマイヤーを泣きながら呼ぶ。

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