東雲のGW北紀行・十勝後志縦横無尽
 (2002年5月3日〜6日・3泊4日)
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【5月5日(日)】
 一日乗車券で、いざ後志(しりべし)

  • 7:00 起床。昨日と打って変わって、朝から青空が広がり、陽射しがまぶしい。シャワーを浴びて歯を磨き、服を着替えて1階ロビーへ下りる。ここのホテルは、レストランや喫茶室などの供食設備はないが、通りに面した広いロビーでパンやコーヒーなどを振舞ってくれる。NHKテレビ「おはよう日本」を横目に見ながら北海道新聞に目を通し、パンとコーヒーをいただく。飲み物のおかわりには、牛乳かオレンジジュースか迷ってみて、でもコーヒーにする。
    一日散歩きっぷ(道央版)   肉や野菜はなかったけれど、腹ごしらえが済んでひと息。部屋に戻ってきたが、実は今日の行き先が定まっていない。夕方T君と合流し、サッポロビール園でジンギスカンと生ビールを飲み食いするということだけで、昼間の予定は白紙。一応、『道内時刻表』の中に載っている「一日散歩きっぷ」(写真右→)を使うことは、なんとなく決まっている。JR北海道から出ているフリーきっぷで、土休日・夏休み期間の一日に普通列車乗り放題で2,040という、首都圏でいう「ホリデーパス」と同じ商品。なぜか、「一日散歩きっぷ」も「ホリデーパス」も、手元の大型版『JR時刻表』には載っていない。『JTB時刻表』よりもJR寄りなのに、なぜだろう。
      それはそうと、このきっぷのフリー区間がむやみに広くてびっくり。路線図を見れば「ホリデーパス」のほうが線路が込み入ってて、なんとなく充実感があるが、その範囲は東京から65〜80kmと、純然たる日帰りレジャーを意識した設定で、意外に狭い。ところが「一日散歩きっぷ」道央版は、北は新十津川(札幌から78.1km)・滝川(83.5km)、南は襟裳岬に近い様似(217.7km)、東は新得(石勝線経由で176.4km)・美瑛(滝川・富良野経由で169.1km)、西は長万部まで(倶知安経由で174.0km)。長万部や新得などは、約1時間おきの特急なら2時間前後で行けるけど、普通列車だと接続がうまくいって片道4時間という場所。担当者がどれだけ本気で区間設定をしたのかは疑問だが、これを使わない手はない。ちなみに、片道1,020円以上=片道51km以上の所へ単純往復すれば元が取れるわけで、札幌からは余市・光珠内(岩見沢の2つ先)・植苗(苫小牧の2つ手前)へ行って来ればよいことになる。

  • 8:00 昨夜寝る前に、ビールではなく エコキップ 発泡酒をちびちび飲みながら、夕張へ行こうか、富良野にしようか、どうせなら両方行こうか、などとあれこれ考えていたのだが、改めて『道内時刻表』をひっくり返しながら、倶知安・余市方面へ行ってみることに決めた。札幌から小樽までは電化されていて、1時間に4本くらい列車があるのだが、小樽から先は列車本数が激減するので、来た電車に乗ってというわけにはいかない。午前中に小樽から倶知安へ行く列車は、6:11、8:07、9:43、11:21。小樽9:43発に間に合う列車は、札幌8:41発。札幌駅で切符を買う時間も必要なので、8:15あわてて宿を出て、地下鉄東豊線・豊水すすきの駅へ向かった。
      昨晩、地下鉄に乗っていたときに、車内広告で「さわやかノーカーデー エコキップ」(←写真左)というのを見つけた。地下鉄・市電・札幌市内のバスに乗降自由の「共通1DAYカード」が1,000円なのに、毎月5日と20日だけ使える「エコキップ」は700円。エコキップだとバスは市営バスに限られるものの、地下鉄だけ乗降自由の一日乗車券は800円だから、それでも結構な値引きである。地下鉄の初乗りも市バスの市内均一運賃も 200なので、地下鉄でもバスでも4回乗れば得することになる。今日の行動予定は、後志方面へ出かけて、いったん宿へ戻ってからビール園へ行くので、……地下鉄4回・バス2回で1,040円分《※9》乗る予定だからここは迷わず“買い”である。
      地下鉄[豊水すすきの]駅は、地上への出口は4ヶ所くらいあるものの、切符売場・改札口は1ヶ所に集約されている。通常の「共通1DAYカード」は券売機で売っているが、月に2日しか売られていない「エコキップ」は、窓口にあるという。しかし、券売機のそばに有人の“出札窓口”はなく、自動改札機に隣接した有人改札口もない。ふつうなら数台並ぶ自動改札機の一端が、券売機を設置したブースに接している部分に有人改札口があるのだが、ここは券売機ブースと自動改札機の間に、透明なアクリル板を張った柵が10mほど立っている。改札の中に、改札口全体をやや遠くから見られる位置に有人の案内窓口があるが、切符を買う前なのでもちろん自動改札を入れない。改札口を入ってから切符を買うという事態に直面してかなり戸惑いながら、やむを得ず券売機の隣りの事務室入口のインターホンを鳴らした。奥のほう、つまり改札の中の案内窓口から出てきた係員氏に「エコキップを買いたいのですが……」と弱気に告げると、いったん奥のほうへ引っ込んで、案内窓口のカウンターからエコキップを1枚持ってきたので、700円ちょうど手渡して、購入完了。自動改札対応の磁気カードを、極めてアナログなスタイルで無事入手したのだが、落ち着いて改札口を見回すと、改札の内外を仕切る柵の一部が、うまいことすればすんなり開くようになっていて、「エコキップをお求めの方は、柵を開けて窓口へお越しください」と書いてある。改札の中の窓口からは、手動で柵を開けて出入りするところが丸見えだから、警備上は問題ないのだろうが、改札内外の両方から有人窓口へのアクセサビリティが、明らかに片落ちである。……案内表示をよく見ない私も悪いといえば悪いのだが。

  • 8:22 札幌市営地下鉄3路線の中で最も新しい東豊線は、日曜祝日になると朝8時台でも8分20秒間隔(平日は3分40秒、土曜は6分毎)とずいぶん待たされる。調べてみれば、既存の東西線南北線も日曜祝日には7〜8分間隔になってしまうようである。そんな東豊線に乗って2駅目、4分足らずで[さっぽろ]へ。開店前の地下街を通り抜けて、JR札幌駅高架下の“みどりの窓口”で「一日散歩きっぷ」を購入。自動改札へ通すと、赤いインクで日付がきれいに印字された。
  • 8:41 [札幌]4番線から、千歳始発の小樽行き普通列車に乗り込む。3両編成の731系電車は3扉ロングシートで、JR北海道の車両としては初めて、乗降口(デッキ)と客室部との仕切りをなくした。寒冷期対策としてドア上にエアカーテンを付けたが、あまり効き目はないらしい。混雑時の乗降時間短縮のためとはいえ、ロングシートで座席は減るし、寒風は直接ふきこむし、では乗客の評判も芳しくなかろう。……でも、この時間の小樽行は、座ろうと思えば全員座れる程度の乗車率である。
    小樽発倶知安行
  • 9:29 [小樽]に到着。この列車を下りた乗客の大部分が、倶知安行が入線する1番のりばへ移動した。4連休の3日目、後志方面へ日帰りレジャーに出かける人が多いようである。しかし、今度の列車が何両で、どこで並んで待てばよいのか、案内放送がないので、入線待ちの1番のりばは列があるようで、雑然としている。やがて、発車7分前にようやく気動車2両編成がやってきた。片側は2+2の4人ボックス席、もう片側は1+1の2人ボックス(?)席で、通路が広く取られている。1両に立ち客が10人程度という結構な乗り具合で、9:43発車。港町の小樽駅を出て、日本海からそれるように左にカーブしながら、ぐんぐんと上り坂に差し掛かって山側へ入っていく。
      列車が余市に到着すると、いっぺんに空席が増える。小樽から23分、手近な観光地として札樽地域で浸透しているのだろう。私も帰りに途中下車してみよう、とおぼろげに思いながら、列車はまた山中へ登っていく。
      途中の[然別]で、下り列車とすれ違い待ち。天気がよく、ホームに屋根がないので、ここで列車の写真を撮ってみるが、同じく車外でフラフラしていたおじさんが、出入口から離れようとせず、カメラを向けても退く気配さえなく、結局写ってしまった(しかも微妙にカメラ目線・写真右→)。繰り返しになるが、今日は一人旅で、あのおじさんは全くの見ず知らずである。

  • 10:55 まだ雪がどっさり残った 倶知安駅のホームからニセコアンヌプリを望む 春スキーの名所・ニセコアンヌプリや、“蝦夷富士”こと羊蹄山が見えてきて、後志支庁所在地[倶知安]に到着。かつては、羊蹄山の東麓から喜茂別・大滝を経て伊達紋別に至る“胆振線”の分岐駅だったが、国鉄分割民営化直前の昭和61(1986)年10月末に廃止され、現在ではただの中間駅である。駅前はニセコ・積丹方面、留寿都・洞爺湖方面へのバスターミナルになっており、ロータリーの中央部は駅まで車で来る乗客のための駐車場になっている。駅舎を出て左手の一角に、羊蹄山からの湧き水が飲めるようになっており、一口のどを潤す。

     駅で観光マップやパンフレットをもらって、『道内時刻表』などと見比べるうちに、倶知安と小沢(こざわ)の間の国道5号線沿いに「ワイス温泉」という温泉を見つけた。11:02 ちょうど、小樽駅行の路線バスが来たので、乗り込んでみる。後志支庁前を通って[倶知安ターミナル]に停まると、前列に座っていたおばちゃんが買い物の荷物を残して下車、待合室へ入っていった。運転手さんに尋ねると、待合室内の窓口で回数券を買っているのだそうだ。
     今来た道を引き返し、 ワイス温泉前から逆光ぎみに羊蹄山を望む また後志支庁前を通って、倶知安駅前の十字街から国道5号線に入る。ニセコアンヌプリを左手の車窓に見ながら、倶知安峠を越えれば、倶知安の北隣の共和町に入る。山あいから少し開けて、民家がぽつぽつ点在する中、11:20 頃[ワイス温泉前]で下車。国道沿いに立っている地名標示板には 「ワイス/Waisu」 とある。観光マップには、ニセコ山系の北端に“ワイスホルン”という、管楽器みたいな名前の山(標高1046m)がある。エーデルワイスと関係あるのだろうか。

      バスを降りた目の前に、赤い屋根の“ワイス荘”がある(←写真左)。この他に、温泉施設らしきものが一切見当たらない。というわけで、必然的にこの“ワイス荘”へ温泉を求めて入っていく。玄関を入ると、ロビーは照明を落として薄暗い。分厚いじゅうたん敷きで、応接セットやら調度家具やらが高密度に置いてあるが、天井が低いせいもあって、ロビーとしての広さを感じない。玄関ロビーと言うよりも、都心に暮らすお金持ちが高級家具を揃えたのはいいが、いかんせん家が狭いので、リビングに置いたら窮屈になっちゃったという「プチ豪邸」という風情である。
      町医者の窓口みたいなフロントには誰もいない。奥からはテレビの音声が漏れ聞こえてくる。すいませーん、と2〜3回声をかけて、エプロン姿でテレビに見入っていたらしき奥さんがようやく出てきた。日帰り入浴料350円を支払い、奥へ進む。入浴前に用足しを済ませようとトイレへ入るが、中の壁はタイルやゴム張りではなく、なんと非防水の壁紙。不特定とは言わないまでも、多数の客が使用するのに、そういう素材ではいろんな物質を吸収してしまうし、第一トイレなのに水を使って掃除できないじゃないか。
      雑然たるロビーといい、非防水トイレといい、入浴前から一抹どころか二抹三抹の不安を抱きながら脱衣場へ入ると、コインロッカーの錠部分がすっかり外されている。カギをなくす客が多くて錠を外してしまったのか、それともどこかから払い下げられたのか。まぁ、お昼前で他に利用客がいないから、妙な心配をしないで浴室へ。程よく広い浴室だが、湯船と蛇口の配置がなんとも言えず離れていて、タイル張りの床が乾いている部分がかなり多い。デッドスペースというやつである。そんな浴室を独り占めにしながら、腰掛と桶を持ってきて、蛇口の前に座る。湯船に入る前に身体を洗うべく、赤い蛇口と青い蛇口を同時にひねるのだが、桶にたまるお湯がずいぶんぬるい。赤い蛇口から出るお湯をおそるおそる触ってみると、 ワイス温泉・ワイス荘 なんとすでにいい湯加減のお湯が出ていた。サービス過剰じゃねーか。……とにかく、ちょうどいいお湯と持参の石鹸で身体を洗い、湯船に入る。無色透明で格別な匂いがしない温泉にしばらくつかり、いったん上がってまた赤い蛇口からお湯を出そうとすると、こんどはぬるいお湯しか出てこない。青い蛇口をひねらないのに、桶にたまるお湯はぬるくなる一方。もはや、ちょうどよい温度のお湯は、湯船の中の温泉しかなくなってしまった。これは、客が少ない時間帯でボイラーを切ってあるためなのか。一人だけ使ってこのありさまなのだから、早朝や夜にたくさんお湯を使うときは、果たしてどうなのか。全くもって心配せずにいられない。

      結論としてここの温泉は、なんと言うか、その、極めておすすめしづらい温泉と言わざるをえない。北海道を旅していると、無名な温泉や一軒宿の温泉などが各地に散在していて、そのほとんどが「ここを見つけた自分を褒めてやりたい」と思いたくなるような温泉なのだが、……ここは違う。旅から帰って、十勝で一緒に移動したT君にここの温泉のありさまを話したところ、「実は俺も、この温泉の存在は以前から知ってて、機会があったら行ってみようと思ってたんだ。その体験談は、大いに参考になる」と、危うくT君にも同じ経験をさせるところだった。

  • 11:55 時刻は間もなくお昼。しかし「ワイス荘」の中や近所には、レストランや食堂っぽい施設が見られない。昼食も食べたいし、さっき小樽から倶知安へ来る途中に下車客が多かった余市行きたい。そのためには、ワイス温泉からバスで3分の小沢(こざわ)駅、あるいは倶知安駅へバスで出て、函館本線の下り列車に乗ることである。時刻表を開けば、倶知安12:24発→小沢12:36→余市13:13というタイミングがよすぎる列車があるもんだ。しかし、脱衣場で開く『道内時刻表』によれば、最も早いバスは12:48発(小沢経由)岩内行。逆方向は、12:54発(倶知安経由)ニセコ駅行。さっき乗ってきた小樽行のバスは、13:31まで来ない。当然、岩内行のバスを待って小沢駅前で降りても、上記の列車には間に合わない。次の列車は13:57である。
      ここで気になるのは、ワイス温泉から小沢駅まで「バスで3分」という距離である。都バスなら、停車時間や信号待ちも含めた運行速度は“自転車並み”だから、時速20kmとして約1kmにあたる。しかしここは北海道。人家がまばらな地域で、しかも国道5号線を走る路線バスである。少々の途中乗降はあるから、法定速度の60km/hまでスピードを出さないにしても、都バスの倍以上の運行速度をマークするはず。……すると、想定運行速度40km/hのバスが3分走る距離は、2km。想定速度が40km/hを超えるならば、実距離も2kmを上回る。2kmといえば、ふつうに歩けば30分の道のりである。
      しかし、12:00に宿を出て小沢駅まで徒歩30分、そして列車は小沢12:36。これでもギリギリだが、これはワイス荘から小沢駅までちょうど2kmという条件付き。実際には2km以上あるかもしれない。宿の人に尋ねようにもなかなか奥から出てこないし、もし聞けたとしても、普段から自動車を使っているはず、正確な距離や「徒歩○分」という数字を持っているとは考えにくい。……しかし、脱衣場で考えあぐねていては、時間を浪費するばかりである。自分のカンを信じて、小沢駅まで歩いてみることに決めた。

  • 12:05 少々長めに迷った後で、荷物をまとめて「ワイス荘」を後にする。5月の連休は、関東で夏日になることもあるが、この日の後志地方も好天に恵まれ、夏日とはならないまでも、摂氏20度前後まで上がっているようである。厚手のシャツにブルゾンを羽織って、やや大きめのデイパックを背負って、国道5号線の歩道をかなり速足で歩く。さっきまで温泉に入っていたのに、うっすら汗ばむはめになっているが、そんな自分を呪うヒマもなく、たまに小走りを交えながら、ひたすら先を急ぐ。看板だけはよく目立つけど閉まっているドライブインを横目に見て、交通量の多い国道を小沢へ向かう。「小沢駅まで○km」という距離表示の看板は、どこにも見当たらない。やがて左側に函館本線の線路が寄り添ってきたので、線路沿いのキロポスト《※10》が見えれば、小沢駅までの距離を割り出せると思ったのだが、国道からは50mくらい離れており、しかもその間には雑草がぼうぼうと茂っていて、レールさえ見えない。前方の景色と左手首の腕時計を交互に見比べながら、焦りはつのるばかりである。
    「トンネル餅」のお店
  • 12:20 今歩いている前方で、国道5号線が線路の上を斜めにまたいでいるのが見えた。しかも、その陸橋の先で線路部分が広くなり、線路が何本かに分かれているのが見える。どうやら、その陸橋の先が小沢駅らしい。「遠くて近きは男女の仲、近くて遠いは田舎の道」という格言(?)どおり、目標物までの距離感をなかなかつかめないが、意外に早く着きそうなので、ほんの少し足取りを緩める。やがて小沢の市街地というか集落に入ると、駅入口の交差点の角に「トンネル餅」という看板を出した店が見える(写真右→)。その看板やのぼりが、見るからに幾年もの風雪にさらされてきた雰囲気で、どうやらここ数年の思いつきによる安直な代物ではなさそうだ。
     ためらうことなく店に入り、カウンター上に4〜5つほど積まれている「トンネル餅」を2つ買い求める。店には「きそば」ののれんがかかっているが、専業そば屋というわけではなく、かと言って「トンネル餅」を中心とした製菓業でもなさそう。そばを食べさせてくれるにしても、列車はあと数分で来るから、ゆっくり食べていられない。お昼過ぎで街に人通りがなく、店内で時間を持て余していたご主人に「トンネル餅」の由来を尋ねると、ご当地・小沢駅の前後がトンネルに挟まれていて、小休止の為に小沢駅に停車したSL列車の車窓越しに、駅弁みたいに売っていたんだとか。あとで折り詰めを開いてみると、餅と言っても草餅や信玄餅とは異なり、むしろ“すあま”に近い。家に持ち帰ってしばらく置いといたら堅くなってしまったので、電子レンジで暖めたらぶよぶよのどろどろになってしまった。



    《※9》地下鉄4回・バス2回で1,040円分……ふつうなら200円×6=1,200円となるのだが、市バス・地下鉄には乗継ぎ運賃が設定されており、地下鉄1区(=初乗り)とバス市内均一区間の乗り継ぎは320となっている。地下鉄の券売機でバス乗継ぎ券を売ってるし、下車時に自動精算機で追加運賃を払えばバス乗継ぎ券を発行してくれる。バスなら下車時に「地下鉄乗り継ぎ」と申し出て320円を払えば、地下鉄1区乗継ぎ券が出てくる(地下鉄を2区以上乗る場合は、下車時に乗り越し精算)。さらに、市営交通のストアードフェアシステム「ウィズユーカード」なら、自動的に乗継ぎ運賃で計算してくれる。
      ……こういう、電車・バスの乗り継ぎ割引は、関東ではほとんど見られない。都営交通にしても、連絡定期券が10%引きなのと、都バス同士の乗り継ぎで100円引きになる「都営バス専用乗継割引カード」をひっそり売っているだけである。

    《※10》キロポスト……鉄道の線路の脇に立っている標識の一種で、その路線の起点からの距離を示す“距離標”のこと。1km単位・500m単位・100m単位で形状が異なるが、いずれにしても車両の床面よりも低いから、草むらごしには見えない。そういえば高速道路や国道や都道にもキロポストはあるけど、それをいちいち気にしながら運転する人はあまりいないだろう。


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