東雲のGW北紀行・十勝後志縦横無尽
 (2002年5月3日〜6日・3泊4日)
 ★東雲が乗り降りしたり通過したりした駅名・停留所名等には[ ]を付ける。
 ★列車名・バス便などの愛称には〔 〕を付ける。
 ★注釈を要する語句は脚注へのリンク《※0》を張ってある。
  また、短い注釈はカッコ書き(こんな感じ)にしている。
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【5月3日(金)】その1
 十勝・帯広へ一足飛び!

  • 8:35 家を出る。3泊4日の荷物を詰めるには、大きなボストンバッグが要るかなと思ったが、やや大きめなデイパックでぴったり収まった。みっちり重い荷物を背負うのは久しぶりの感覚で、肩にズシリと来るのだが、動きやすい態勢である。そして服装は、北へ飛ぶことを見越してやや厚手のシャツ(UNIQLO)に、都会的でないオッサンが愛用する薄手の水色のブルゾン。濃いカーキ色のチノパンは、荷物を減らすという名目上、4日間はきどおしとする。
      胸ポケットの携帯ラジオは、通勤でもプライベートでも旅先でも欠かせない。この日のTBSラジオは、朝から「YOKOHAMA DAY」と銘打ち、横浜中華街・みなとみらい日本丸パーク・横浜スタジアムから生中継、そしてナイター横浜×巨人戦へとつなぐらしい。TBSが買い取った途端に不振にあえぐベイスターズは、なんとも不憫である。

  • 8:54 [鴻巣]から10両編成の普通列車上野行きに乗車。平日ならこの列車は鴻巣始発なのだが、本日は憲法記念日で休日ダイヤ、高崎始発で案の定座れない。やはり4連休の初日、子供連れが目立つ。日が射して熱くも寒くもなし。窓を開けて風を取り込めばいいのに、私が乗った車両はどの窓も開いていない。車両最後部ではあるが、目の前の窓を3cmばかり押し下げてみる。

  • 9:45 [上野]5番線に到着。駅構内の人の流れは、新幹線と上野公園へ少々、そしてほとんどが東京・品川方面の3・4番線へ流れ込んでゆく。私もその流れに乗って、山手線外回りに乗り込む。[東京]と[新橋]で段階的に乗客が減ってゆくが、私は新橋の次の[浜松町]で下車。泊りがけの大きな荷物を持った旅行客が多くホームへ降り立った。Suica定期券で乗り越しなので、精算機に並ばず改札機へ直行。荷物がデイパック一つになっているから、自動改札でも難儀しない。それにしても、JRの改札を出てから右へ出て、階段を下りてまた右に入って、またエスカレータを上ってようやくモノレールの出札口にたどり着くという、……別棟とはいえ無駄が多い通路設計である。東京モノレールがJR東日本傘下に入ったため、浜松町駅の移設と新橋延長が構想に上がっているらしいが、それと関連するのかしないのか、来年(2003年)12月完成予定でJR駅の新改札口と連絡通路を作るらしいし、今年7月からは京浜東北線の快速も浜松町に停まるという。

  • 10:18 [モノレール浜松町]からモノレールに乗り込む。今まで国内航空に縁がなかったので、東京モノレールにもあまり乗ったことがなかったが、走行中はガクガクと意外によく揺れる。タイヤの真上の席に座っているせいなのか。山側(西側)の車窓は、ビルの合間に富士山がチラリと見え隠れする。

  • 10:41 [羽田空港]到着。4月21日から6月20日までの2ヶ月限定キャンペーンとして、Suicaを使ってモノレール浜松町〜新整備場・羽田空港を乗車すると、通常運賃470円を410円《※1》に値下げ。ゴールデンウィークにも割引適用というのはありがたい。しかしSuicaで改札機を通過する時の「ピピッ」という音は、まばらである。世間から漏れ聞くところによれば、「せっかくJRが買収したんだから、運賃も一本化すればいいのに」という率直な感想もあるようだが、それは虫が良すぎるというものだ。
      航空券は往復とも、格安航空券を扱う旅行代理店で3月のうちに買っておいたので、本当に格安《※2》で手に入った。何となく「JALの方が高そう」というイメージに反して、割引はJASよりもJALの方がよかったので、1日1往復だけのJAL 531便を選んだ。エスカレータで地下1階から2階の出発ロビーへ上がり、手持ちの航空券を自動チェックイン機に通す。……ここで初めて、航空券は便を予約するだけで、座席指定がない(当日チェックインして座席指定を受ける)ということを知った。

  • 10:55 デイパック一つなので手荷物は預けず、検査場を通過して機内持込みにする。さて搭乗券を見ると、搭乗口は「82」とある。いくら羽田空港でも80も90も搭乗口があるかと思ったが、ターミナルビル2階から直接乗り込める“ふつうの搭乗口”は1〜24。80番台の搭乗口は、階段で1階へ下りた“バスラウンジ”だった。トイレを済ませ、自販機でペットボトルの緑茶を買って、“銀色のいかつい自動改札機”に搭乗券を通すと、右端の半券だけ出てきた。バスの後部を建物側に向けてアイドリングするなよ、と思いながらターミナルビルの“軒下”に寄せてある「帯広/Obihiro」という行先表示のリムジンバスに乗り込むと、ほぼ満員になったところで発車。南ウィングの南端からターミナルビルに沿って北上し、北ウィングも通り過ぎて、空港構内の北端の突き当たり直前まで来てしまった。屋根のない駐機場に、ジャンボジェットよりやや小ぶりな機体が止まっている。すぐ隣にはプロペラ機が止まっており、中型・小型機はターミナルビルから直接乗り込まないのだと解釈した。……もっとも、大型連休で増便されていることもあるだろうけど。
      リムジンバスがもう1台・2台と追いかけて来る。やはり屋根のないタラップを上り、席番「14H」につく。270人乗りのボーイング767型機は、座席配置は2+3+2列で、「H」は右窓際の左隣。7列しかないのに8番目の「H」がふってあるのは、もっと列が多い大型機に合わせたのだろうか。

  • 11:30 搭乗口から駐機場が遠いこともあって、予定よりも15分ばかり遅れて飛行機が動き出した。行楽客、特に子供連れが大人しくしないだろうなと思い、聴診器型のイヤホンで演芸チャンネル「日航名人会」を離陸前から聴き始める。ところが、……飛行機をよくご利用の方ならお分かりかと思うが、離陸前はあれやこれやとアナウンスが断続的に入るので、話が肝心な部分に差し掛かったときに中断することしばしば。まぁ、60分番組なので、しばらく待てば同じ話が流れるからいいんだけど。
      とか何とか思いながら、ごろごろと長いこと滑走路まで転がって、そしていよいよ離陸。右側の窓から、眼下に千葉マリンスタジアムや幕張メッセ、印旛沼などを望みながら、しばらくしてベルトサインが消える。機内をウロウロしてもいいのだが、さして広くもない機内、トイレに行きたくもないし、他に見るべきものもないし、大人しく自席で落語鑑賞する。小腹が空いたのだが、国際線とは異なり軽食は出ないらしい。ワゴンサービスで、キウイジュースをもらう。

  • 12:50 襟裳岬上空から十勝平野にさしかかり、[とかち帯広空港]に着陸。これだけ土地があるんだから、ジャンボ機対応にすればよかったのにと思ったが、普段の利用率はたかが知れているのだろう。とかち帯広空港からの航空路線は、羽田へ4往復のほか、関西空港と名古屋空港へ1便ずつ。しかも名古屋便の機材は、時刻表によれば CRJ200型という50人乗りのジェット機である。
      飛行機から出てターミナルビルに入ると、中国語の張り紙が目立つ。よくわからないが、「歓迎」とか「手荷物はこちら」とか書いてあるようだ。中国から十勝地方へ、チャーター便で観光客が来るらしい。本物の大陸から、大陸っぽいところへやってきて、何を目当てにするのだろうか。まさか、帯広空港のそばにあるドイツ風テーマパーク「グリュック王国」じゃないだろうな。

  • 13:00 お出迎えで混みあう到着ロビーで、T君と合流。大学の鉄道研究会の同期で、現在“教師”をやっている彼は、前日の晩に千歳へ飛び、レンタカーを借りて一路東へ。前夜は夕張で宿を探したが、暗くてどれが宿だか見つからず、セイコーマートの駐車場で“車中泊”。そしてこの日は午前中に十勝平野へ出てきて、帯広駅前温泉で一風呂浴びたという。5月とはいえ、北海道内陸部の夜は冷え込む。少々風邪気味っぽいドライバーT君と、助手席に乗り込んだ私は、スピードが出ない大型バス(それでも法定速度で力走しているのだが)の後ろで数珠つなぎになりながら、道道を帯広市街へ北上し始めた。

  • 13:30 道道を北上すること30分、帯広市街に突入。まだ昼食をとっていないのだが、どうせ食べるなら十勝名物がいい。T君によれば、帯広名物は“豚丼”で、以前に帯広駅前の「ぱんちょう」で食べたことがあるとか。ならば、と駅北口の路地に車を止めて、確かこのへんと見当をつけながら歩いて行くと、間もなく視界に飛び込んできた長蛇の列。もう14時になるというのに、店の外に20人くらい並んでいる。現代は音楽でも映画でも食べ物屋でもメガヒットブーム《※3》なのだな、と妙な納得をしながら、「ぱんちょう」から北へ入った「弁慶総本店」へ。ここは寿司や天ぷらも出す“和食の店”なのだが、店先に「豚丼(みそ汁付)1,000円」とPOPを出しており、しかも誰も並んでいない。そのまた斜め向かいには、豚丼もやっている焼肉屋があるので、焼肉屋の豚丼というのも気になったのだが、ここは手っ取り早く「弁慶総本店」の方へ入る。
    食べかけの豚丼   店内に入って席につくと、ランチお品書きの中に「ゴールデンウィーク特別ランチ/豚丼(三平汁付き)1,300円」とある。店内の壁には、依然として「豚丼(みそ汁付)1,000円」という張り紙もあるのだが、両者の関係を考えるのが面倒なので「特別ランチ」の方を注文。そして待つこと20分、毛ガニが入ったみそ汁とお新香、そしてふた付きの豚丼が出てきた。ここでT君はさらに「ふきのとうとタラの芽の天ぷら」も追加。
      ふたを取ってみれば、焼いた豚肉に濃い色のタレがからめてあり、しかもこういう丼物にはつきものの玉ねぎなど、肉以外の具がない。待っている間に、店頭にあった観光リーフレットを読んだところによれば、うな丼にヒントを得て作ったといい、確かにタレはドロッとして甘い。そしてみそ汁の方は、具の毛ガニ一つ一つに包丁で切れ目を入れてあり、身をほじって食べられるという趣向。T君は、この“毛ガニ汁”と“みそ汁”の価格差:300円に納得がいかない様子。

  • 14:15 釈然としない部分を残しながら、会計を済ませる。レジカウンターには、帯広駅前という場所柄か、十勝地方の観光マップや名所案内のリーフレットが多種置いてあり、私もいくつかもらっていく。車に戻ると、風邪っぽくて何やら疲れたというT君が、「運転、替わる?」とレンタカーのキーを差し出す。本日の宿である糠平温泉へは、ひたすら北へ向かえばよいという。道も広いし、しばらくはクネクネした山道ではないので、運転席に座ってみる。北海道内でクルマを運転するのは、実はこれが初めてではなく、2年前の“卒業旅行”で、なんと今回と同じメンバー(つまりT君と2人)で、レンタカーで札幌から留萌へ行ったことがある。道央道にも乗った。
      その頃に比べて、毎日営業車に乗っているおかげで車庫入れが格段に上手になったくらいだから、前回ほど緊張はしなかった。というわけで、さっきまで北上してきた“大通”に戻り、さらに北上を続ける。十勝川を渡ると、帯広市の北隣の音更町(おとふけちょう)に入るが、帯広市街から近く、国道241号線沿いに薬局や衣料品店、ホームセンターなど郊外型店舗が立ち並ぶので、“帯広郊外”というかニュータウンのような景色である。今走っている国道241号線は、車道部にはセンターラインしか引かれていないので、対向2車線ということらしいのだが、どういうわけだか音更町内では車線の幅が非常に広い。東京都内なら間違いなく2車線取れる幅を、1車線として使っている。連休で交通量が多いながらも流れている道で、ときどき右側を猛スピードでゴボウ抜きしていく地元の車がある。カルチャーショックを感じながらそのまま走らせていると、しばらく先の信号で、さっき追い抜いていった地元車が右折待ちしていた。交通量が多いので、なかなか右折できないでいたらしい。……ざまぁみろ、の一言が脳裏をよぎった。
      音更市街《※4》を過ぎると、車線の幅が少し狭くなったが、それでも東京の大通りよりは格段に広い。しかもまっすぐで平坦とくれば、ついスピードが出る。いや、前後の車が当たり前のように飛ばすので、スピードを出さないわけにはいかないのだ。だから、大型車が前を走っていると、競輪の走り始めのように十数台が数珠つなぎになって、ときどき対向車線を気にしながら“仕掛ける”車も出現し、そしてあっという間に走り去っていく。そういう車の流れに懸命についていく私が、あまり気負わずにプラス20キロ出せるようになるまでに、さほど時間はかからなかった。運転を替わる前に、T君が教えてくれたあれっ、料金所は通ったっけ?っていう感じ」は、言い得て妙だと実感している。




    《※1》410円……なぜキリよく400円にしないのかと思ったら、470円の下が400円(浜松町〜天空橋など)なのだった。10円の半端がついたところで、Suicaで支払うのだから小銭の心配は要らない。ちなみに、Suica拡販がキャンペーンの目的なので、現金払いは割引の対象外である。

    《※2》本当に格安……楽天市場で「格安航空券/国内」を検索して、コスモツーリストを見つけた。往路(5/3)の羽田→帯広は通常32,500円が21,250円。復路(5/6)の千歳→羽田は通常28,000円が18,900円。決済は郵便振替で、自宅への送料は無料。ここに限らず、ネットで予約や買い物をすると、思いもよらぬ割引を受けられるものである。

    《※3》メガヒットブーム……音楽なら宇多田・あゆ・サザン・B'z、映画なら「ハリー・ポッター」や「ロード・オブ・ザ・リング」、ラーメン屋なら湯島天神下の「大喜」というふうに、最近はひとたび人気が出始めると、猫も杓子もそこへ集中していく。だから、100万枚も売れるような“メガヒット”の下は“静かなブーム”“スマッシュヒット(=一発屋)で、その中間の“程よく人気”がない。そして私は、ハイリスク・ハイリターンながら後者の方を好むのである。

    《※4》音更市街……北海道では、町や村の中心を成す住宅密集地・商業地を「○○市街」と呼ぶ。たまに、一つの町や村の中で、役場がないけど市街地ができて「市街」と呼ばれるところもあるが、町村合併前の旧役場か、鉄道の駅があったのだろう。


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