東雲の瞬発的ハワイ日帰り旅
 (2005年7月2日〜3日・日帰り+車中1泊)
 ※ 本シリーズは、外部スタイルシートを使っています。
  Netscape Navigator 4.73で対応する要素だけですが、それでも
  一部のブラウザでは未対応かもしれません。予めご了承ください。

その1◆「日本のハワイ」とは

 思えば、今週のわが社内なにやら落ち着かなかった。6月の最終週ということもあろうが、「ハワイ」「北陸」の2本立てで行われる社員旅行の、「ハワイ」組の出発が間近に迫っており、それが楽しみでそわそわしているのが3分の1。そのために月末の業務を前倒しして片付けなければならないので慌てふためいているのが3分の1、それとは無関係に社内システムが置き換わったばかりでまごついているのが3分の1。
 私が属する課の中からも、若干名がハワイ旅行へ参加する。ハワイハワイと草木もなびく。南国の陽射しにもショッピングにもビーチにも興味のない私だが、「そんなにハワイハワイと騒ぐのなら、じゃあ俺も、ハワイに行っちゃおっかな〜」と思いついた。しかし、太平洋の真ん中にある常夏のハワイは、行ったことないけど結構遠いらしい。航空運賃もバカにならないし、安いツアーも1〜2日前では申し込めない。そもそも、個人旅行でHawaiiへ行きたいとは毛頭思わない。

 以前から気になっていた“日本のハワイ”こと、鳥取県のはわい温泉に行ってきて、「はわいまんじゅう」とか「はわいの月」とか「はわいに行ってきました」とかいうお土産を買ってきて、月曜に会社で配ってみたい。「私も“はわい”に行ってきたんですよぉ、日帰りですけど」と言ってみたい。ボーナスも出たことだし、7月2日・土曜日にはわい温泉へ出かけることに決めてしまった。もちろん、社員旅行のハワイ組がハワイにいるうちに行って帰ってくる。

 東西に長い鳥取県は、東に鳥取市、西に米子市。そのちょうど中間に倉吉市があり、その北東に隣接するのが、鳥取県東伯郡湯梨浜町。2004年10月1日に、東郷町・羽合町・泊村の3町村が合併した町で、東郷温泉・はわい温泉などの「湯」と、ご存知二十世紀「梨」、そして日本海に面する「浜」を合わせて「ゆりはまちょう」という新しい町名を作ったのだという。地名の出来としては「西東京市」「四国中央市」に比べれば、よっぽどマシなほうではないか。しかし合併前には「日本のハワイ」として全国に知られていた「羽合」を残すべき、という意見も少なからず上がったらしい。

湯梨浜町観光ガイドブックより

 じゃあ、この「羽合(はわい)」という地名はどんな由来を持つのか。Wikipediaには「旧羽合町にあるので、正確には「はあい」であるかとは思われるが、アメリカのハワイの読みで宣伝をしている。HAWAIと表記されると、つい、そう思ってしまうが、あくまで「はあい」なのである。」と主観に満ちたとんちんかんな記述があるが、この珍文が掲載されたのは湯梨浜町発足直後の2004年10月9日。しかるに1953(昭和28)年4月1日から湯梨浜町誕生前夜まで、半世紀以上にわたって東伯郡羽合町は「はわいちょう」であった。これを書いたAska27は、何を根拠に「あくまではあい」などと自信たっぷりに妄言しちゃったのだろうか。当然「羽合 はあい」でGoogle検索してみても、まともな検索結果は得られない。

 話を元に戻す。このあたりは古墳群があり、大化の改新の後には伯耆国(ほうきのくに:鳥取県東部の旧国名)の国司庁が一時置かれていたという。その国司庁のそばに伯井田(ははいだ)」という集落があり、のちに羽合田という字が当てられたのが、「羽合(はわい)」の地名の由来、の一説。羽合から南に見る小高い山が「羽衣石(うえし)山」で、戦国時代には「羽衣石城」という山城があったのも、「羽」の字があてられたことと関連しているのだろうか。ちなみに町名として「羽合」が世に出るのは前述の1953年。世に言う“昭和の大合併”で、浅津・橋津・宇野・長瀬の4村が合併したもので、1978(昭和53)年からは町内にある「浅津温泉」を「羽合温泉」に改称。羽合町商工会と温泉旅館組合が1990(平成2)年からハワイとの国際交流に乗り出し、1996(平成8)年11月にはアメリカ合衆国ハワイ州と姉妹都市提携。時期ははっきりしないけどおそらくこの頃から「羽合温泉」の表記を「はわい温泉」に書き換えて、現在に至っている。
参考ページ:『月刊 地域づくり』2001年8月号「特集・日本の中の外国」より
「夏場の仕事着は官民ともにアロハシャツ/ハワイアンムード満点の羽合町」


 というわけで、はわい温泉が断じて「はあい」ではないことを確認したところで、そのはわい温泉にどうやって行くか。頭をひねればひねるほど、行き方はいくらでも出てくるが、一応“日帰り旅”なので、現実的なところは下の4つくらいか。
  1. 浜松町バスターミナルから鳥取・倉吉行き夜行高速バス〔キャメル号〕で11時間25分、10,700円。
  2. 東海道新幹線で京都・新大阪・姫路まで、そこから特急〔スーパーはくと〕。新大阪乗換えで最速5時間41分、18,800円。
  3. 寝台特急「出雲」で乗り換えなし。下りは倉吉まで11時間32分、運賃+特急料金+B寝台=19,950円。
  4. ANAが羽田から鳥取空港へ4往復。倉吉・三朝温泉方面の連絡バスが、湯梨浜町のJR東郷駅前にも停まる。羽田を離陸してからちょうど2時間。前日まで買える「特割1」で22,150円+バス1,200円。
 2番目のルートは、新幹線以外にも寝台急行〔銀河〕や夜行バスで京都や大阪へ行ってもよい。実際、初めのうちは金曜の晩に夜行バスで京都へ向かい、翌朝7:06に京都を出る〔スーパーはくと1号〕倉吉行に乗り継ごうと考えていた。東京地区から京都へ向かう夜行バスはたくさん走っているが、金曜は仕事でまごつきそうなので、なるべく遅く出発したい。かつ〔スーパーはくと1号〕に間に合いたい。川口の自宅から近い京成上野駅前を23:20に出る〔きょうと号〕山科駅まで《※1》というのを第一候補に考えていたのだが、夜行バスではなかなか眠れない。翌日ははわい温泉の周辺をあれこれ見て回るために、レンタカーを使おうと思っているので、前夜はある程度の睡眠を確保したい。朝6時台の新幹線で東京を出て〔スーパーはくと3号〕でもよいのだが、それでは倉吉12:22着でお昼を過ぎてしまう。
 結論は、朝一番の飛行機で鳥取に飛び、空港からレンタカーで移動すること。羽田7:10→鳥取8:20で、レンタカー営業所が閉まる20:00まで半日弱。夕方よりも午前中の明るいうちに時間ができるから運転にも観光にも好都合だし、12時間料金で目いっぱい乗れるのはお得だ。
 そして帰りは、残念ながら倉吉にレンタカーの営業所があまりない(マツダレンタカーと契約している地元業者があるようだが、閉店18:00は早すぎる)ので、鳥取市までレンタカーで戻って、20:24発の寝台特急〔出雲〕で日曜の朝に東京へ帰ってくることに決めた。……これでは厳密な“日帰り”にはならないが、“夜行日帰り”という言葉もあるくらいなので、ご容赦いただきたい。ちなみに鳥取空港から羽田への最終便は、19:50発。

 往路は飛行機、現地はレンタカー、そして復路は寝台特急。前日になってようやく決まったので、あとはとっとと予約するのみ。TBSラジオのキャンペーン《※2》ANAマイレージクラブに加入したばかりなので、会社のパソコンからすんなりWeb予約。夏休み前なので、土曜の午前便でも余裕がありそう。レンタカーは会員じゃなくてもかなり安くて全車カーナビ付きのトヨタレンタカーに決める。前日予約はWebからできないので、予約センターへ電話。現地の営業所へ直接電話して空車確認・予約するほうが早い、と電話番号を教わり、鳥取の営業所へかけ直し。幸いにも、一番小型のヴィッツが取れた。会社の営業車で乗り慣れているので、ラッキーである。残るは復路の〔出雲〕号だが、駅の窓口を早仕舞いする代わりに設置された えきねっと対応の指定券発売機では寝台特急のきっぷを買えない。せっかく西日暮里駅の売り上げに貢献しようと思っても、20時までで閉まっては貢献のしようがない。急いで京浜東北線に乗り込み、川口へ移動。22時の営業終了間際に駆け込んで、鳥取→東京(都区内)の乗車券・特急券・B寝台券が1枚になったきっぷを無事買い求めることができた。明日鳥取から乗る指定券を今晩川口駅へ買いに来て、どうするつもりなのかと驚いてくれるかと思ったが、窓口氏はいたって冷静であった。

 さて、出発前夜は自宅に帰ってきたのが22時過ぎ。旅支度をしたり、ネットで有益な情報や無益な情報などをあれこれ見ているうちに、夜は更けていく。明日の朝は、羽田7:10発の飛行機に乗るために、川口5:29発の列車に乗るべく、4:30起床である。普段の平日よりも夜更かししてどーする、自分。



《※1》山科駅まで……〔きょうと号〕は終点が京都駅八条口ホテル京阪前(6:40着)なので、京都駅まで乗り通して7:06発の〔スーパーはくと1号〕に乗り継いでもよかったのだが、道路渋滞などで到着が遅れて乗り継げない可能性があるので、京都駅のとなりの山科駅か、そのまたとなりの大津駅でバスを降りて、普通列車で京都まで行こうと考えていた。ちなみに倉吉までの運賃は京都・山科が同額、大津は420円増。バスは大津駅で降りる方が330円安いので、大津駅で乗り換えると差し引き90円の損になる。

《※2》TBSラジオのキャンペーン……6月下旬のスペシャルウィーク(聴取率調査週間)でTBSラジオ全日空の全面タイアップを受けてぶち上げた企画が、ラジオを聴けばマイルがたまる!ラジオdeマイルキャンペーン。6/1〜30の30日間、放送中に出てくるキーワードとANAマイレージクラブ会員番号を専用サイトや携帯サイトに入力して応募すると、1日20万マイルを当選者で山分け、総計600万マイル大放出。ちなみに応募者が1万人を超えたら、抽選で1万人に20マイルずつ。抽選にならず応募者全員山分けになかったのは、最初の5日間だけ。8月のスペシャルウィークでもやるらしい。
 今まで何度となく飛行機に乗っていたけど、マイレージなんて気にも留めていなかったのだが、10月に北海道へ行くあてがある私は、このキャンペーンにまんまと乗せられて、Edy付きマイレージカードを申し込んでしまった。これのおかげで、搭乗手続きがずいぶんと簡略化されて、拍子抜けを食らうのは次項でのお話。


その2◆大雨に向かって飛べNEXT
TOP【国旅主義・目次】へ 臨海亭東雲