月刊コラム page 25.

 日本一簡素! 彩の国まごころ国体は川口市で開幕

 さぁ、9ヶ月半ぶりに彩の国コラムを書きます。本来なら、今春開業した本庄早稲田駅を中心に本庄市を取り上げる予定でしたが、タイミングを逸してしまったので、わが母校の文化祭“稲稜祭とうりょうさい”と“本庄まつり”が開かれる10月末〜11月上旬あたりに、改めて取材に行ってみようと思います。
 折も折、今年は埼玉県で国民体育大会(国体)が開かれるんだそうですな。夏季大会と秋季大会があって、冬季大会はないんだそうですが、9月10日(金)の夏季大会開会式が、自宅から徒歩7分のところで行われるというので、今回はぐっと近場で済ませます。私こと東雲が転入して早4ヶ月の川口市を、といっても広うござんすので、夏季国体の舞台になるポイントだけ取り上げます。

  【彩の国まごころ国体

 埼玉県で国体をやるのは、昭和42(1967)年以来、37年ぶりなんだそうです。……各都道府県持ち回りなのに、47年ぶりじゃないんですね。ちなみに、今年埼玉でやるのは夏季大会と秋季大会だけで、冬季大会はスキーを山形県で、スケートとアイスホッケーは青森県で、今年1〜2月にやってたんだそうです。
 「日本一簡素で心のこもった国体」という大会の理念を踏まえ、県民が心を一つにして、真心こもった彩り豊かな国体の実現と成功を目指すんだそうです。たとえば、埼玉県が予算化した大会運営費は、平成12年の時点で80億円と見込んでいたのですが、競技用具を来年の岡山県と共同整備したり、なるべく新しい施設を作らないようにしたり、競技別開会式など省けるセレモニーを省いたりして、現時点では59億円で済む見込みだそうです。昨年の静岡県は61億円、2年前の高知県が72億円、6年前(1998年)の神奈川県が92億円でしたから、今年の埼玉県はけっこう頑張っているということですかね。

  【夏季大会の開会式は川口リリアで】

川口リリア  川口駅西口を出ると目の前にそびえるのが、川口総合文化センター「LILIA(リリア)」です。クラシックからアイドルコンサートまで催し物は幅広く、展示ホールでは同人誌即売会などのイベントも行われます。リリアってのがどこの言語に由来するのかは知りませんが、どうやら川口市の花“テッポウユリ”に由来するらしいです。前回の埼玉国体をきっかけに、昭和41(1966)年に制定したんだそうですが、じゃあなぜ川口市の花がテッポウユリなのか? 川口市役所ホームページによれば、「他の県・市の花に関係なく、明るく清純で、しかも川口市で広く栽培し愛されている花」として決まったんだそうです。ちなみに、川口の名を全国区に押し上げた映画『キューポラのある街』(主演:吉永小百合が公開されたのは昭和37(1962)年4月でしたから、少なからず影響があったかもしれません。

 9月10日(金)、夏季大会の開会式がこのリリアで開催されます。今まで夏季国体の開会式は、水泳競技を実施するプールサイドで、競技初日の早朝にやっていたそうで、「プール以外で」「競技開始の前日に」開会式をやるのは初めてだそうです。既存のホールを使うことによって、式典やアトラクションの演出にホールの音響・照明設備を使えて効果的でしかも安上がり、さらにプールの仮設席を縮小する狙いもあるんだそうです。当日はメインホール(2002席)だけでなく、音楽ホール(600席)や、後述の川口西公園に大型スクリーンを設けて、開会式を生中継します。

開会式記念イベント告知看板(クリックで拡大)  開会式当日は、リリアの前に広がる川口西公園(リリアパーク)で、11時から20時まで「元気・感動! 川口フェスタ」というイベントが開かれます。このイベントについては、彩の国まごころ国体のサイトでも川口市国体ホームページでもほとんど触れられていない(開会式記念イベントがあります、の1行程度)のですが、そんな小さな扱いではもったいないくらい、豪華な面々がやってくるみたいです。
 川口駅西口を出たところに、告知看板が立っています。←左の写真では文字を読み取れませんが、クリックすると別ウィンドウで拡大画像(左右960ピクセル)が出ます。この看板を見ますと、総合司会はなんと森脇健児・松原愛。模擬店・物産展に、大道芸やトランポリン、ピエロにフラメンコに風船プレゼントもあり。アンパンマン・ショー、うたのおねえさん・渡辺かおりの童謡コンサート、国体開会式の中継や炬火リレーがはさまって、神尾米・大神いずみのトークショー、そして最後はスター・錦野旦の“熱き愛のコンサート”をたっぷり60分! どれも、見ている分には無料ですって。すごいですねぇ〜。

  【夏も秋も使う青木町公園総合運動場】

青木町公園の西側入口  開会式会場に続いて、夏季国体のメイン会場となる青木町公園総合運動場へやってまいりました。「青木町公園」って言うと、すごく地味な印象を受けますが、公園全体が“総合運動場”になっていて、陸上トラック・野球場(硬式軟式共用)・テニスコート12面・屋外プール・弓道場・相撲場が揃っています。今度の国体では、夏季の水泳だけでなく秋季国体でもテニス・軟式野球で使用されることになっています。
 ちなみに、夏季大会の競技は「水泳・サッカー・ボート・カヌー・ボウリング・ゴルフ」の6種目ということになっています。何が夏でどれが秋なのか、水泳以外は分け方の根拠がよくわからないのですが、再来年の兵庫国体からは夏季と秋季大会を統合するんだそうで、シンプルに・分かりやすくという観点から言えば、至極当然の流れですね。むしろ、なぜ今まで夏と秋を分けていたのかが分からないんですけれども。
 さて屋外プールは、37年前の埼玉国体でも使われた施設で、2000年度から4年がかりで改修工事を行い、現在の国体基準に合わせました。元々は、外環川口中央ICの北側に位置する神根運動場をつぶして、250億円かけて屋内プールなどの運動施設を整備する計画だったのですが、折からの不況による財政難で断念、屋外プールの改修に切り替えました。その結果、屋外プールを含めた青木町の運動場全体の総工費は約50億円で、当初計画の5分の1で済んだのです。なお、このプールで実施されるのは競泳・飛び込み・シンクロナイズドスイミングで、水球は徒歩15分くらい離れた、SKIPシティの隣りの川口市立総合高校で行われます。
東京五輪の聖火台(レプリカ)

  【青木町公園にはこんな物もある】

 今年はアテネ五輪が開催されましたから、オリンピックがらみのエピソードがあちこちで披露されていたかもしれませんが、ここでも一つ。この青木町公園には、昭和39(1964)年の東京五輪で使われた聖火台のレプリカがあります(←写真左)。高さは2m40cmで、雨水やゴミが入らないように、フタがしてあります。手前の案内板に近づくと、なにやら音声が流れ出します。
 実は、東京五輪の聖火台は川口の鋳物職人・鈴木万之助さんと、その息子・文吾さんが作り上げたものだったのです。もともとは昭和33年のアジア大会に向けて製作されたもので、これが出来上がるまでには大変なドラマがあったそうですが、この場ではバッサリ割愛させていただきます。それにしてもここに鎮座している代物は、レプリカとはいえツヤツヤ黒光りして、ずいぶん新しそうに見えるのですが、これは国体開催を期して改修したんだそうです。「川口イズム」記事を見ると、フタはあるけど柵もなければ案内板もない惨めな状態だったようですが、今では写真のとおり。夏季国体の水泳競技を見に行かれる方がいらっしゃいましたら、ついでにこの聖火台レプリカも見てやってください。ちなみに、案内板に近づくと流れ出す声は、他ならぬ鈴木文吾さんの語りです。

 青木町公園の中で、もう一丁。ここの公園の南べりは、旧国鉄の9600形蒸気機関車(写真↓左)と、なぜか京浜急行の230形電車(写真↓右)が静態保存されているのです。9600形というSLは旧国鉄が使っていたものですから、川口を含む東北線でも当然走っていたんでしょうけど、なぜ京急の車両が川口へ来たのかは、よく分かりません。どうやら、青木町公園の中にあった児童文化センター(2002年8月末閉館)の“屋外展示物”だったようですが、児童文化センターの機能はSKIPシティの中に設けられた川口市科学館(川口サイエンスワールド)へ移され、青木町公園にはSLと旧い電車が残されてしまったのです。それにしても、SLには機関庫風の屋根をかぶせているんだから、京急電車の方にも屋根か覆いをつけてやればいいんですけどねぇ。

SL9600形(青木町公園) 京急230形(青木町公園)


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