週刊コラム page 11.
熱中症寸前!高校野球県予選観戦記


 高校に入ってから、のべ8年。いまさら高校野球が、そして「わが母校」が気になりだしたのです。
 ……実際は、応援歌を久しぶりに歌いたくなった だけなのかもしれませんが。

 その「わが母校」早稲田大学本庄高等学院は、はっきり言ってあんまり強くありません。というのも、国内外を問わずあちこちから生徒が集まってくるので、学校提携の下宿“ホームステイ”を学校周辺に設けており、約半数の生徒がそこで暮らしているのですが、8月は“ホームステイ”が閉鎖されるので、夏休みを通した練習ができないのです。

県営大宮球場スタンド  それはそれとして、7月16日の日曜日。ヒマだから、というただそれだけの理由で、暑い中を県営大宮球場へ出かけたのであります。バスを降りたすぐそばのコンビニで、お菓子・飲み物と袋入りロックアイスを買い求め、バックネット裏の中央口から入場しました(一般:500円、中高生:100円、小学生:無料)。ロックアイスを買ったのは、別に買った飲み物を冷やすだけでなく、解けた水を少しずつ飲むという目的があります。解けたばかりの氷水なので充分冷たくておいしいし、自然に解ける分だけ飲めば、飲みすぎにならず水分補給にちょうどよい、という入れ知恵。

 この日の県営大宮球場は、母校も地元校も出ていないので、どちらに肩入れするともなく、バックネット裏のひさしの下に陣取りました。各校の応援団から離れたところでは、上半身裸の男性も散見されます。……あ、場内では売っていないはずのビールを飲んでる人もいる(写真右→)

上尾市民球場  その後、某新聞の地域面に目を通すと、早大本庄が初戦でコールド勝ちしているのが目に留まりました。トーナメント表を見れば、次はちょうど海の日。せっかくだから、と上尾市民球場(←写真左)へ出かけることにしました。上尾駅からはちょっと離れているので、路線バスか市内循環バスで行くのですが、路線バスは毎時1本程度、市内循環バスは3〜4時間に1本。運悪く私が上尾駅に着いたと同時にバスが出て行ってしまい、次の発車は試合開始3分前。バス乗り場をうろうろしていた2人の女子高校生に声をかけて、タクシーで一緒に行くことにしました(980円)。わが母校・早大本庄は男子校なので、彼女らは間違いなく対戦校(栄東高校)の生徒。スポーツで全国に名をはせる埼玉栄高校の系列校なので、栄東も強いの?と尋ねてみたら、「いや、弱いです(笑)」との返答。これは謙遜なのか、本当に弱いのか?

 1学年240人しかいない男子校は、倍ぐらいの規模の共学校に比べると、いろいろな意味で見劣りするなぁと思いながら、栄東のスタンドをこっそり横切って、三塁側の早大本庄応援席へ。応援団の顧問のK先生と、私と同期の応援団OB・F君にばったり再会しました。

早大本庄応援部リーダー  早大本庄の応援部は黒の詰襟に身を包み、えんじ色の腕章を着けています(写真左/右はブラスバンドの指揮者。対する栄東の応援団はグレーのブレザーと紺のスラックスという制服に、赤いはちまき。どちらも上着まで汗にぬれて、黒の学ランには塩がふいていました。父母会の方々が大型バケツに氷水を張ってペットボトルを冷やし、小さな紙コップで飲み物を頻繁に配ってくれますが、そんな中でも応援部員の一人が倒れてしまい、日陰へ担ぎ出されるという一幕も。起立脱帽で腕を振りながら校歌を歌っているだけで目まいを覚えるというレベルをはるかに上回る、過酷な状況が目の前を右往左往しているのです。

 さて、早大本庄は大学の附属校なので、校歌・応援歌は大学のものをそのまま使っているのですが、それ以外の高校の応援歌として最もよく聞かれたのが、山本リンダの「狙い打ち」。次いでピンクレディーの「サウスポー」。ほかには、岩崎良美「タッチ」、爆風スランプ「RUNNER」、「暴れん坊将軍」のテーマ、そして「さくらさくら」まで。打席入りの時に、G1レースのファンファーレ(府中・中山バージョン)を吹いていたところもありましたが、「教育上よろしくない」というクレームがついたかどうかは知りません。そして、目下の対戦相手である栄東は、相手校(早稲田)の応援曲であることを知ってか知らずか「コンバットマーチ」をやったり、その直後に慶応の応援曲をやってみたり。隣で観戦する応援部OBのF君とともに、「節操がないナ」と苦笑しておりました。

 この試合の結末は、6回コールド・10−0で早大本庄の勝ち。ランニングホームランも交えた長短12安打で、かたや栄東を3安打完封に仕留めました。帰りがけに「次の試合は23日、県営大宮球場で、春日部共栄との対戦です!」との発表。次の対戦カードが決まる試合がほぼ同時に別球場で行われ、春日部共栄が一足先にコールド勝ちしていたのです。
 県営大宮球場は、テレビ埼玉の中継が入るし、注目の第1シード校と一戦交えるので、ついでに注目を浴びてけっこうオイシイなと思いつつ、当方も2試合連続コールド勝ちなので、ひょっとしたら……と皮算用しながら 23日(日曜)も足を運んだのですが、結果は0−12、5回コールド負けでありました。

 都合3日間、炎天下の球場へ足を運んだのですが、海辺で焼く代わりにスタンドで寝そべっていたり、どちらを応援するわけでもなく球児の一挙手一投足に見入るだけの人も少なからず見受けられました。入場料500円(再入場不可)、場内の売店はコンビニより若干割高なので、入場直前に近所のコンビニで好きなものとロックアイスを買い込んで見に行ってみるというのも、7月の休日の過ごし方としては面白いかもしれません。

 ちなみに、県営大宮球場がある大宮公園の近くには公営のプールもあり、今年一番の暑さに海パンも持っていったのですが、プールを出た帰りも大汗をかくことが容易に想像できたので、すんなりあきらめて、酷暑で人影まばらな大宮の街を独り家路についたのであります。



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