週刊彩の国コラム page 07.
大合併時代? 埼玉の市町村合併三題
★東入間2市2町法定合併協議会設置
4月29日、浦和・大宮・与野の3市合併の法定推進協議会が発足しましたが、実はこれより早く4月1日、別の法定協議会が発足していたのです。対象となる地域は、川越街道・東武東上線沿線の 富士見市・上福岡市・入間郡大井町・同三芳町の2市2町(右図の黄色部分)。
規模こそ『さいたま市』にははるか及ばないものの、マスコミであまり取り上げられないくらい すんなりと話が進んでいるのです。合併すると、面積 49.67km2、人口 約238,000人(平成11年12月1日の推計人口より)となり、人口・面積の両面から言えば、県内では上尾市とだいたい同じ規模になります。
略図を見てもわかるように、この2市2町はあまり大きくなく、市町の境界が入り組んでいるため、各市町にまたがったニュータウン開発(ふじみ野など)が行われています。東京から30km圏にあたり、高度成長期に人口が急速に増加した為、古くからの小さい町村があまり多くまとまらずに市町へ昇格した為、東武東上線・川越街道(国道254号線)沿いの地域は、30km2未満の小さな市が密集しているのです。
★県南西部4市も合併へ検討開始
前述のような事情から、2市2町よりも東京寄りに位置する、和光・朝霞・志木・新座の4市(右上図の水色部分)にも合併の話が持ち上がり、「県南西部4市まちづくり協議会」の中に「合併検討部会」が5月16日に設置されました。こちらは、合併すると面積 60.69km2、人口 約402,000人となり、さいたま市・川口市に次いで県下第3位の人口を持つことになります。
……実は、東上線沿線以外にも、埼玉県内には合併を目指す動きが各地にあるのです。戸田市+蕨市、川口市+鳩ヶ谷市、北埼玉郡南河原村+行田市、児玉郡市などなど。行政が研究・検討を始めているところもあれば、地元の経済団体などが思いつきの延長で言い出したというケースもあり、まちまちです。
しかしながら、自治体合併で特に問題になるのは、「行政サービスの差」です。たとえば『さいたま市』では、与野市が早くから下水道普及100%を達成しているのに対し、浦和・大宮は(市域が広いこともあって)整備が遅れています。また、税金からゴミ収集日・分別方法に至るまで、今まで各自治体で独自に決めていたことを統一しなければならないため、「あそこと一緒になると行政サービスが落ちる」などという理由による根強い反対が、ほぼ全てのケースで起こるのです。
★与野市長、さいたま市市長選へ出馬せず
2001年5月1日に合併・誕生予定の『さいたま市』の市長選について、現・与野市長の井原勇氏は6月1日、新市長選へ不出馬の意向を表明しました。
井原市長は、対立していた浦和・大宮の両者をまとめる“調整役”を果たしていたので、新市長へ推す声も多かったのですが、井原市長は「自分が立候補しないからこそ、両市が耳を傾けてくれた。立候補するのは、約束違反になる。」と、あくまで不出馬の立場をとる姿勢を強調しました。
ちなみに、市町村が合併してできた新自治体の首長(=市長)は、合併後50日以内に選出されることが、法律によって定められています。
私・東雲は、以前より「大宮・浦和の2大勢力に挟まれて中立できる与野こそが、EUにおけるベルギーのように、合併のイニシアティブを取るべきだ」と主張していたのですが、規模・知名度ともに劣る与野は、お隣さんと共生しながら発展する道を選択したのです。うーん、残念。……なお、3市合併協議会の事務局は、さいたま新都心に近いJR北与野駅前のアルーサA館(与野市上落合)にあります。
『東雲珍奇楼』TOPへ / 週刊彩の国コラム・TOPへ戻る