週刊彩の国コラム page. 06
名文句続出? 92市町村のキャッチフレーズ
私・東雲の地元:鴻巣市には、「ひな人形と花のまち」というキャッチフレーズがあり、駅前の看板や市の広報誌に書かれています。このような、個々の市町村の特徴を端的に言い表す“キャッチフレーズ”が、他の市町村にもあるかどうか、ちょいと調べてみました。
埼玉県立浦和図書館へ調べに行く為に、浦和駅西口に降り立ち、手始めに浦和市のキャッチフレーズをチェックしようと思ったのですが、バスロータリーを取り囲むデパートや商店街は賑やかなれど、「ようこそ浦和へ」といった類の観光看板は見当たりません。駅西口を出て右手にある浦和市観光案内所に立ち寄ったものの、そこはプレイガイド窓口と兼用で、浦和市の観光パンフレットはありませんでした。まぁ、浦和は観光や物産で売り出している市ではないので、改めて観光広告塔などを建てる必要はないのかも知れん、と割り切りながら県立図書館に向かったのであります。
市 名 | キャッチフレーズ |
川越市 | スマイルシティ川越 |
浦和市 | ひと・まち・みどり うらわ |
熊谷市 | さくらのまち 熊谷 |
川口市 | キューポラのある街 / 植木の里 |
所沢市 | 日本の航空発祥の地 |
大宮市 | 夢ひろがるまち |
岩槻市 | 城下町岩槻 / 人形のまち |
春日部市 | もっと春日部 かすかびあん |
桶川市 | べに花の里 桶川 |
鴻巣市 | 花と人形のまち |
羽生市 | 『田舎教師』のふるさと |
北本市 | さくらと範頼伝説のまち 感動桜国きたもと |
鳩ヶ谷市 | 躍動するまち・鳩ヶ谷 |
狭山市 | お茶香るまち さやま |
町村名 | キャッチフレーズ |
北埼玉郡南河原村 | スリッパの里 |
北埼玉郡北川辺町 | 水輪のまち |
北埼玉郡大利根町 | 童謡のふる里おおとね |
北埼玉郡川里村 | 花のふるさと |
大里郡岡部町 | 親孝行宣言の町 |
比企郡小川町 | 関東の小京都 |
比企郡鳩山町 | 宇宙を見つめる鳩山町 |
比企郡都幾川村 | 大切にしたい 緑と清流 |
入間郡三芳町 | 人よし・住よし・土よし・みよし |
児玉郡児玉町 | みどりと歴史のまち・児玉 |
秩父郡皆野町 | 秩父音頭発祥の地 |
秩父郡吉田町 | 秩父事件蜂起の地 |
秩父郡両神村 | 花咲く山と滝の村 |
※参考文献:各市町村広報誌、『新県民読本 さいたま92』編著:グループ92(1986年)
はじめは各市町村の「総合計画」を見ていたのですが、将来の開発計画なので、伝統的な名所・物産を織り込まず、そこに書いてある“コンセプト”は「緑」「ふれあい」「うるおい」「やすらぎ」「文化都市」といった抽象的な言葉の組み合わせばかり。そんな中、当コラム前回でも取り上げた「下總 皖一」の出身地である大利根町は、町の広報誌や総合計画書のタイトル等にも積極的に『童謡のふる里おおとね』を用いています。
依然としてハコモノ志向が強い行政計画という夢物語はさておいて、自治体の広報誌に目を転ずれば、キャッチフレーズとシンボルマークが表紙などに載っていて、市町村の独自性を打ち出しています。ここにはキャッチフレーズを紹介していないのですが、秩父市の『市報ちちぶ』2000年5月号の表紙には、秩父市のキャラクターとして一般公募の中から「秩父原人チプー」が採用された、という記事が大々的に載っていたのであります。
川口市の「キューポラのある街」って、吉永小百合が出た映画のタイトルでしたっけ。もうひとつの「植木の里」は、川口市というよりも、市東部の安行地区に対するキャッチフレーズですねぇ。 春日部市の「かすかびあん」には、早稲田大学総長・奥島孝康教授が命名した「ワセダニアン」以来の驚きを感じてしまいました。「かすかびあん=春日部市民」ということなのでしょうか。和菓子っぽい。 鴻巣市については冒頭で述べたとおりなのですが、北鴻巣駅前には「ひな人形と果樹のまち」と書いてあります。梨の農家も花を栽培する園芸農家も、だいたい同じ地域にあるので、最寄駅の差はないはずなのですけど。
岡部町の「親孝行宣言」は、何か曰くつきなのでしょう。岡部六弥太と関係あるかもしれません。福岡市の「親不孝通り」は、通り沿いに予備校が多いから、というのを聞いたことがありますけど、全く関係なさそうです。 「宇宙を見つめる」鳩山町には、宇宙開発事業団 地球観測センターや、気象衛星通信所があるのです。 吉田町の「秩父事件蜂起の地」は、この上なくショッキングなキャッチフレーズですが、手作りロケットを打ち上げる「龍勢祭り」もあることですし、観光用の言葉は別に用意しているのかもしれません。
以上のほかにも、たとえば駅前ごとに観光看板と独自のキャッチフレーズがあるのかもしれませんが、今回は割愛させていただきます。……でも、今回は観光用とそうでないコピーとが混じってしまいました。単純に比較はできないですねぇ。思いついた時点では「もうバッチリ」と高をくくっていたんですけれども。次回もがんばりまぁす。
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