週刊彩の国コラム page. 05
上位が意外! 新しいさいたま自慢の内訳
去る2000年5月5日、埼玉新聞社が「21世紀に残したい・埼玉ふるさと自慢100選」を発表しました。有効応募総数:825,168通で、4つのジャンルに分けて合計100個が選出されたのですが、このうち各ジャンルの上位を書き出してみます。(なお、全100選とランク外のデータは5月5日付埼玉新聞紙上で発表されたほか、6月下旬に『ふるさと自慢100選ガイドブック』として刊行されるそうです。)
ジャンルA
(名所・自然・史跡・文化財など) |
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ジャンルB
(芸術・スポーツ・芸能・祭りなど) |
1
| 入間の茶畑(入間市) |
15,709 |
|
1
| 大凧あげ祭り(庄和町) |
12,333 |
2
| 長瀞と岩畳(長瀞町) |
13,933 |
|
2
| 聖徳太子例大祭(行田市) |
11,916 |
3
| 川口グリーンセンター(川口市) |
13,238 |
|
3
| 本庄まつり(本庄市) |
11,647 |
4
| 権現堂堤の桜(幸手市) |
11,843 |
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4
| 加須のジャンボ鯉のぼり(加須市) |
8,763 |
5
| さきたま古墳群(行田市) |
10,948 |
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5
| 入間川七夕まつり(狭山市) |
8,656 |
6
| 三峯神社(大滝村) |
10,498 |
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6
| やったり踊り(春日部市) |
8,628 |
7
| 雉が岡城跡の塙記念館(児玉町) |
10,061 |
|
7
| 脚折雨乞行事(鶴ヶ島市) |
6,718 |
8
| 大宮氷川神社(大宮市) |
9,529 |
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8
| 児玉秋祭り四角太鼓(児玉町) |
6,599 |
9
| 喜多院(川越市) |
9,368 |
|
9
| 南越谷阿波踊り(越谷市) |
6,509 |
10
| 牛島の藤(春日部市) |
8,462 |
|
10
| 入間万燈まつり(入間市) |
5,903 |
ジャンルA・ジャンルBは、それぞれ40項目がピックアップされました。ジャンルAのベスト10はいずれも順当と思われる中で、7位の「塙 記念館」が食い込んできた点については、ジャンルDでコメントします。ちなみにベスト10圏外では、「越生梅林」が13位、秩父市の「和銅遺跡」が32位。82位「西武ドーム球場」・111位「さいたま新都心」はたくさん人が集まるのに、40選にも漏れてしまいました。そしてどういうわけだか、100位に「三郷インターチェンジ」(常磐道・外環道)が入っています。……名所かぁ。
ジャンルBでは、日本三大曳山祭りの一つとして全国的に有名な「秩父夜祭」がまさかの36位という大波乱。トップの大凧揚げは、つい先日NHKテレビで深夜にやってましたっけ。ゲストになぜ千堂あきほ? ……それはさておき、実のところ私が知らない地付きの祭りが顔を並べる中、ごく最近の町おこしイベントの成功例とされる「南越谷阿波踊り」が9位にランクインしています。
“もうすぐベストテン”では、手作りロケットを打ち上げる吉田町の「龍勢祭り」が15位、古代神話にちなんだ「さきたま火祭り」(行田市)が18位、小鹿野歌舞伎が20位といったところ。一応ジャンルBは「スポーツ」も入るのですが、40選の中で唯一スポーツっぽいのは、23位の「日本一のグライダー滑空場」(妻沼町葛和田)だけ。西武ライオンズは46位、浦和レッズは49位でした。
ジャンルC
(物産・食文化) |
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ジャンルD
(県ゆかりの人物) |
1 |
吉川のなまず料理(吉川市) |
13,782 |
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1 |
塙 保己一(国学者/児玉町) |
22,962 |
2 |
狭山茶(狭山市ほか) |
10,234 |
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2 |
荻野吟子(日本最初の女医/妻沼町) |
10,936 |
3 |
白岡の梨(白岡町) |
8,863 |
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3 |
下總 皖一(作曲家/大利根町) |
10,084 |
4 |
草加せんべい(草加市) |
8,187 |
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4 |
関根 將雄(日本画家/岩槻市) |
8,375 |
5 |
小川和紙(小川町) |
6,390 |
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5 |
渋沢 栄一(実業家/深谷市) |
6,844 |
ジャンルC・ジャンルDは各10選で、前述のA・Bと合わせて100選になります。その中のベスト5ですが、大本命の草加せんべい・狭山茶・岩槻のひな人形(9位)等をおさえてトップに輝いたのは、なんと無印の「吉川のなまず」でした。JR武蔵野線・吉川駅前には、なまずの像がちゃんとあります。
5位と400票足らずの僅差に迫った第6位「東松山の味噌だれ焼き鳥」は、名古屋名物ではありません。ちなみに我が地元・「鴻巣のひな人形」は惜しくも17位、有名かなと思った「深谷ネギ」は23位。熊谷名物のお菓子「五家宝(ごかぼう)」は33位でしたが、『うまい、うますぎる』の強烈なキャッチコピーと棟方志功画伯がダイナミックに描いた紙袋でおなじみの「十万石まんじゅう」(行田市)は50票未満で新聞にも載りませんでした。
そして県ゆかりの人物のトップには、全670巻の『群書類従』を編纂した“盲目の大学者”こと塙 保己一(はなわ・ほきいち)が、2位の倍以上の票を得ました。ジャンルAの7位に「塙 記念館」がランクインしたこともあわせると、地元・児玉の組織票が功を奏したのではないかと推測されます。2位の荻野吟子・5位の渋沢栄一は順当なところです。最近の顔ぶれでは、6位:若田光一の他に、蜷川幸雄(川口市/11位)、森村誠一(熊谷市/20位)、田部井淳子(川越市/22位)などが出てきています。ちなみに、第3位の下總 皖一は、『たなばたさま』『ほたる』『はなび』『かくれんぼ』などの童謡を作曲しました。
そんなわけで、あたりまえと思っていた伝統的な名物が票を伸ばさず、各地域ごとに力を入れている名物が上位に食い込んでくるという、興味深いランク構成が見られました。……さぁ、次回のトップに輝くのはいったいどこの名物なのでしょうか!?? それでは次の機会まで、ごきげんよう!!!
(敬称略)
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